関西地区における研究用原子炉の設置について

 昭和31年8月30日付学大第736号をもって、文部省大学学術局長から科学技術庁原子力局長あて、「研究用原子炉の設置について」と題して、京都大学に研究用原子炉を設置することにつき詳細な計画案を添附し、了解を求め協力方を要望してきた。これに対して原子力委員会は、9月4日、稲田文部省大学学術局長、岡田京大教授から従来の経過、京大側の計画の内容等について説明を求めた後、所有、管理形式、土地選定等に関して検討を加えたのをはじめ、9月13日、10月11日の委員会においてもひきつづいて検討した結果、大学におけるものは基礎研究用のものとして動力炉を含む研究所とは分離し、文部省中心に大学連合等において運営するのが適当であるとの了解に達し、具体化については文部省、大学において検討されるよう文部省あて回答するとともに、炉の所有、管理方式等については今後検討調整することとされた。この決定にもとづき、下記のような文書を原子力局長名にて文部省大学学術局長あて通知した。

31原局第341号
昭和31年10月24日

文部省大学学術局長殿

原子力局長

研究用原子炉の設置について

 昭和31年8月30日学大第736号をもってお申越のあった標記の件については、去る11月11日開催の原子力委員会において下記のとおり決定いたしましたので本決定の主旨により貴局において具体的措置につき検討を煩わしたい。


 大学における基礎研究および教育のための原子炉の設置については、昭和31年9月6日内定の原子力開発利用長期基本計画5.(2)、(ロ)の(h)の主旨に従い、差し当り関西方面に1基を設置し、大学連合等により運営を行うものとする。nただし、わが国における原子力の研究、開発はようやくその緒についたばかりであり、かつまた日本原子力研究所も設立後日浅く、原子炉管理等の諸法制も未制定の現状に鑑み、本研究用原子炉の所有形式等に関しては別途検討を加えるものとする。