各国の原子力予算

1.各国原子力予算比較

 主要諸国の原子力関係予算は次のとおりで、日本の31年度予算に比して、米国195倍、英国17倍、フランス9.4倍、カナダ2倍、西独1.1倍となっている。

国 別

  年 度
  原子力予算
(億ドル)
  比率
米 国
54〜55
16.5
195
英 国
55〜56
1.7
17
フランス
55
0.94
9.4
カ ナ ダ
55〜56
0.20
2.0
西  独
56〜57
0.11
1.1
日  本
56〜57
0.10
1.0

2.経済規模・政府予算と原子力予算

 米国、英国および日本について、国民総生産ならびに政府予算と原子力予算とを対比すると、日本を基準として国民総生産は、米国18倍、英国2.4倍であり、政府予算は、米国23倍英国5.4倍となっているが、原子力予算に関しては前項のとおり、それぞれ195倍、17倍となっており、日本の原子力予算が相対的にも少ないことを示している。

 

国 民
総生産(比率)
政府予算
(A)(比率)
原子力予算
(B)
B/A
億ドル
億ドル
億ドル
米国   3,872(18.0)
  638(23.0)
  19.5
  3.1
英国
  531(2.4)
150(5.4)
1.7
1.1
日本
222(1.0)
28(1.0)
0.1
0.35

3.エネルギー投資と原子力支出

 電力、ガス、石炭等のエネルギー関係投資に対して原子力関係支出を比較すると、米国では3対1の比率であり、英国でも5対1の比率になっている。日本のエネルギー投資の大きさからみると、将来の原子力関係支出は増加する余地がある。

エネルギー関係投資(1955)


〔参 考〕

ドイツ原子力省本年度予算

1.本年度における事業および費目別支出大要

 (1)一般支出

85,000マルク
  原子力関係の国内および国外における見本市参加のための出資金
2,200,000マルク
  学術研究および後進者養成促進のための費用
1,500,000マルク
  技師および技術者等補助員の養成促進のための費用
3,400,000マルク
  原子力関係技術向上促進費
2,500,000マルク
  ドイツ国内におけるウラン採掘促進費
1,175,000マルク
  放射線利用促進費
425,000マルク
  放射線に対する防御方法研究費
3,000マルク
  ドイツ各種団体会社および国際機関に対する分担金
7,185,800マルク
  ヨーロッパ原子核物理学研究機構に対する分担金

 (2)本年度限りの支出金

3,000,000マルク
  カールス・ルーエにおける原子炉建設に対する政府負担金
3,800,000マルク
  ドイツ国内における各大学研究機関等が計画している実験用原子炉の建設に対する促進費
17,000,000マルク
  現行研究機関または施設の近代化および拡充のための補助金
小 計
  42,273,800マルク

 (3)その他  1,726,200マルク

合 計  44,000,000マルク

2.上は連邦政府としての予算であるが、ドイツにおける原子力研究および開発は、連邦政府、州および民間機関の3者の協力によって推進するという建前である。

3.米国と西独与の間の原子力協定の実施にともなう費用としては、別段特に準備がなされていない。その理由は本協定が主として米国よりのウラン供給およびドイツ国内における原子炉建設に対する米国よりの技術的援助を主たる内容としており、そのために必要な資金は関係機関または州がそれぞれ負担することを建前とし、もし政府の財政支出を要する場合は前記1.の支出各項目中の関係費目から適宜支出されるものとしているからである。

アメリカ原子力委員会の予算

 AEC運営費17億4,000万弗、設備費1億5,800万弗から成り7月24日下院を通過して決定した。なお、原子力発電促進の4億弗追加予算案が提出され、上院を通過したが、24日下院で否決された。