夏期アイソトープ講習会の実施状況

 本年度の夏期におけるアイソトープ利用に関する技術者講習会の開催計画については、前月号で簡単におしらせしたが、その実施に当っては、各講習会ともに最近のアイソトープ利用に関する関心が高まったのを反映して、特に講習会の実習を希望する者が多く、その選考に苦慮している状況である。

 したがって、当初の計画を一部変更したりしてできる限り応募者の希望をとり入れて目下実施中の「第7回アイソトープ講習会(一般)」および「ラジオ・アイソトープ・セミナー・工業コース」や既に講習会を終了した「中学校・高等学校理科教員アイソトープ講習会」の実施状況について説明してみよう。

1 「第7回アイソトープ講習会」の実施状況

 この講習会は、日本放射性同位元素協会および日本原子力産業会議の主催により、原子力委員会、科学技術庁、文部省、農林省、厚生省、日本原子力研究所の後援によって8月20日から9月12日まで、一般講義、基礎実習、専門実習(理工学コース、農学コース、医学コース)に分類して講習が行われている最も規模の大きい講習会である。

第1表 第7回アイソトープ講習会受講者調べ

 本講習会の募集定員、応募者、受講者は、第1表のとおりであるが、特に実習の募集定員に対し約4倍の応募人員が殺到したが、その施設設備の関係上次の選考基準にもとづき選考が行われ、おおむね当初の計画により、講義は東京大学工学部講堂において、基礎実習は農業技術研究所、科学研究所において、専門実習の理工学コースおよび農学コースは農業技術研究所で、医学コースは東京第一病院および東京第二病院で目下講習会を実施中である。


 (実習者の選考基準)

① 同一機関からの同一コースの受講者は1名とし、希望者数名の場合はその機関の長に選考を依頼する。
② アイソトープを現に利用し、または今後利用もしくは研究の確実な機関からの希望者に限定する。
③ 前回の講習会の実習受講者は認めない。
④ 本人の専門外のコースの受講を認めない。
⑤ 以上の①~④の基準にもとづき選考を行い更に講習会実旛委員会において選考する。

2 「ラジオ・アイソトープ・セミナー・工業コース」の講習会実施状況

 この講習会は、日本科学技術連盟主催により傘下の会社、工場等の技術者を対象とした今回が初めての講習会であって、工業方面におけるアイソトープの利用が、医学、農業面に比し著しく立遅れの状況にあるので特に工業部門に限定した講習会である。本講習会の称象を傘下の会社、工場に限定したため応募者は44名であったが、当初の計画どおり、これを講義40名(ただし、実習は20名)にして8月14日から9月12日までを一般講義、実習、補習講義(見学および懇談会)に分け、一般講義および補習講義は産経会館において、実習は、東京大学工学部、同大学生産技術研究所、東京工業大学および名古屋工業技術試験所において目下実施中である。

3 「中学校、高等学校理科教員アイソトープ講習会」の実施状況

 この講習会は、日本放射性同位元素協会主催により原子力局、文部省、東京教育大学後援によって東京教育大学において講習が行われた。この種の講習会は今回が初めてであったためか、その応募者は地域的に偏在していて開催の周知徹底に欠ける点が認められたが、募集定員、応募人員等は第2表のごとくであって、特に実習希望者が定員の3.5倍であったので、同一学校から2名以上応募した者は1名に限定して選考したが、これでも定員の2倍に達したので、当初の計画を変更して2班に分け講習会期を延長し、7月27日から8月2日まで講習会を行った。

第2表 中学校、高等学校講習会受講者調べ