国立放射線医学総合研究所設置計画 原子力委員会に設けられた国立放射線医学総合研究所に関する小委員会(以下小委員会という)は、5月11日以来数回の審議の結果前号にのべたような成案を得た。 さらに昭和31年2月27日付をもって、原子力委員会委員長から内閣官房長官あて国立放射線医学総合研究所(以下研究所という)の設置について日本学術会議に諮問を依頼したのであるが6月30日付をもって日本学術会議(以下学術会議という)から答申があった。 そこで7月5日原子力委員会は研究所の設置計画について審議した結果、別記のような研究所設置計画と決定した。 この計画は小委員会案および学術会議の答申を尊重して決定されたものであるが、ただ研究所の組織のうち化学研究部の行う標識化合物の調整に関する研究は、日本原子力研究所に設けられるアイソトープセンターとの業務に重複する恐れがあるので削除した。 なお生理研究部を追加し放射線の利用による人体の生理等に関する研究を行うことにした。 国立放射線医学総合研究所設置計画 31.7.5 原子力委員会 1.現在までの経過 昭和30年1月11日、日本学術会議長から内閣総理大臣あて「国立放射線基礎医学研究所の設置について」の申入があり、政府においては科学技術行政協議会に国立放射線基礎医学研究所設置に関する専門部会を設置して検討した結果国立放射線基礎医学研究所を早急に設置することが必要なこと、および厚生省に国立放射線衛生研究所を設置する必要があるという結論に達した(昭和30年6月8日、科学技術行政協議会決定)。以後、文部省、厚生省等関係者間において国立放射線基礎医学研究所および国立放射線衛生研究所の設立準備が進められてきたが、昭和31年2月3日閣議決定に上り、この種の研究所を設置する場合は両者をあわせて国立放射線医学総合研究所として、科学技術庁に設置することが決定されている。 つづいて昭和31年2月27日付をもって、原子力委員長から内閣官房長官あて国立放射線医学総合研究所の設置について日本学術会議に諮問方依頼したが、昭和31年6月30日付をもって答申があった。(別紙参考資料参照) また原子力委員会に設けられた「国立放射線医学総合研究所に関する小委員会」は5月11日以来数回にわたり慎重な審議を行った。 2.国立放射線医学総合研究所設置計画 (1)おもな事業計画 1.放射線の人体に対する影響についての基礎的な研究 (2)組 織 (別紙1のとおり) (3)定 員 (別紙2のとおり) (4)施 設 (別紙3のとおり) 計 206,700千円 (5)年次計画 1.年次計画は3ヵ年計画とする。 (6)経費概算 (施設および器械器具費) 1.土地建物費 (年間経費概算)
(参考資料) 庶 発 第382号 内閣総理大臣 鳩山一郎殿 日本学術会議会長 茅 誠司 国立放射線医学総合研究所の設立について(答申) 昭和31年3月27日付総科第735号により諮問のあった標記のことについて、本会議の意見を下記のとおり答申します。 記 1.国立放射線医学総合研究所は、国立放射線医学研究所設置に関する日本学術会読の勧告に端を発し着想されているものであるが、科学技術行政協読会の案による、国立放射線衛生研究所の両者の任務を合せ行うものであることが必要である。したがって国立放射線医学総合研究所は、放射線医学に関する基礎ならびに応用の両方面の研究を行うべきであるが、基礎研究の面が軽視されることのないよう特に留意しなければならない。 2.国立放射線医学総合研究所が、その機能を十分に発揮するためには、この研究所の性格にかんがみ、特殊な研究施設を整備し、かつ、物理、化学、生物ならびに医学各部門の専任の優秀な研究員を確保するよう特に配慮することが必要である。 また、国立放射線医学総合研究所の設置場所を選定するにあたっては、上記の諸条件を考慮するほか、専門学者の意見を十分尊重されたい。 3.国立放射線医学研究所は、異なった専門分野の研究者を擁しているから、研究員相互の連絡を密にすることはもとより、関係専門分野の研究機関、特に全国の大学と密接な連繋を保って運営されることが必要である。 また、この研究所は、全国の研究者にもその施設を利用せしめることが必要である。 4.国立放射線医学総合研究所の基本的運営に関しては、専門学者よりなる委員会を組織して、その意見を徴されることが望ましい。 5.国立放射線医学研究所の機構は、別紙のとおりとするのが適当と考える。
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