原子力平和利用研究補助金交付規則について

1 まえがき

 昭和31年度原子力平和利用研究補助金については昭和31年5月7日付総理府告示第234号(前号掲載)によりその交付申請を公募したが、その交付規則を別記のとおり昭和31年5月17日付総理府告示第237号で定めた。本告示は補助金交付及びその交付後の手続並びに交付の条件等について主として昨年公布施行された「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(昭和30年法律第179号)により各省庁の長の定める事項を規定したものであって、この補助金はこの規則及び前記の法律の適用を受けるものである。

 以下に本補助金の従来及び他の研究補助金と異なる点等につき述べることとする。

2 補助金交付の決定まで

 本補助金の交付申請は去る5月31日に受付を締切ったが、以後原子力局において書類審査および現地調査等を行い、8月早々に交付の決定を行う予定である。

3 補助金交付の通知

 補助金の交付が決定したときはすみやかにその決定の内容を申請者に通知する。このとき本年度は補助金が予算上昭和31年度中に支出可能のもの及び昭和32年4月以降に支出可能のものの二つに分れているので、2年度にわたって補助金を交付するものについては交付決定通知は次の二つにわけて行うこととなる。

  通知(A) 昭和31年度内に終了する研究項目について
  通知())!))A

 すなわちこれを表に示すと第6表のようになる。

 なお、本年度内に終了するものについては1本である。

第6表 交付決定通知(A),(B)

4 請書の提出

 補助金交付の通知を受けた者はその通知の内容等に不服があり申請を取下げるとき以外は遅滞なく請書を提出しなければならない。このとき前述の通知(A)及び(B)に対してはそれぞれ請書を提出する。

5 補助金の支払

 補助金の支払は原則として試験研究の終了の認定を行い交付すべき補助金の額を確定した後に行うが2年度にわたる試験研究については前記の交付決定通知(A)に相当するものに対しては昭和31年度末までに終了した該当研究項目分につき終了認定及び補助金額を確定して補助金を支払い、通知(B)については当該試験研究終了後にその認定及び補助金額を確定して支払う。

 なお補助金のうち必要があると認められる金額については大蔵大臣と協議して前払をすることができる。

6 取得財産等の処分の制限

 被交付者が補助金を受けて取得しまたは効用の増加した財産で特に交付に際して定められたものを補助金の交付を受けた試験研究以外のものに使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、または担保に供しようとするときはこれらの処分について内閣総理大臣の承認を受けなければならない。

7 試験研究の成果の公開

 補助金を交付した試験研究により得た成果は本補助金がわが国の原子力平和利用のための研究促進を目的としている点にかんがみ、可能な範囲において公開しまたは公開せしめて原子力工業の育成に資せしめる。

 去る5月19日に科学技術庁が発足し、従来管理課において行っていたこの補助金関係事務は新設された助成課が所掌することとなった。

◎総理府告示第237号

 原子力平和利用研究補助金の交付に関する規則を次のように定める。

 昭和31年5月17日

内閣総理大臣 鳩山一郎

原子力平和利用研究補助金交付規則

(目 的)

第1条 昭和31年度における原子力平和利用研究補助金交付申請募集規則(昭和31年5月7日総理府告示第234号)により交付の申請を募集した原子力平和利用研究補助金(以下「補助金」という)の交付については、この規則に定めるところによるものとする。

(交付の対象)

第2条 補助金の交付は、試験研究を遂行するために直接必要な費用のうち次の各号に掲げるものについてその一部又は全部に使途を指定して行う。

 一 建物又は構築物の買受、製造、改良、すえつけ又は修繕に要する費用

 二 機械装置(船舶及び車両を含む)又は工具、器具若しくは備品の買受、製造、改良、すえ付又は修繕に要する費用

 三 原材料の買受、製造又は改良に要する費用

 四 前各号に掲げるもののほか特に必要と認める費用

(交付の決定)

第3条 補助金の交付の申請があったときは、当該申請に係る書類を審査し、及び必要により原地調査等を行って補助金を交付するかどうかの決定をし、交付すると決定したときはすみやかに決定の内容を申請者に通知するものとする。

2 前項の場合において適当な交付を行うため必要があるときは、補助金の交付の申請に係る事項につき条件を付し、又は修正を加えて補助金の交付の決定をすることがある。

(申請の取下げ)

第4条 申請者、前条の規定により通知を受領した場合においてその通知に係る補助金の交付の決定の内容又はこれに付された条件に不服があるときは、当該通知後30日以内に申請を取下げることができる。

2 申請を取下げる時は取下げの理由を記載した申請取下げ届出書(別記様式第1号)に参考となるべき書類を添附して総理府原子力局(科学技術庁設置法(昭和31年法律第49号)の施行の日以後は科学技術庁原子力局とする。以下同じ。)に提出するものとする。

3 第1項の規定による申請の取下げがあったときは、当該申請に係る補助金の交付の決定はなかったものとみなす。

(請書の提出)

第5条 第3条の規定による通知を受けた者は遅滞なく請書(別記様式第2号)を総理府原子力局に提出するものとする。

(補助金の交付)

第6条 補助金は前条の請書を提出した者(以下「被交付者」という。)に対して交付するものとする。

(補助金の支払)

第7条 補助金の支払は原則として試験研究の終了の認定を行い交付すべき補助金の額を確定した後に行うものとする。

2 2年度にわたる試験研究については、そのうちの昭和31年度内に終了する研究項目とその他のものとに分け、前者については当該研究項目の終了のときに、後者については当該試験研究の終了のときに、それぞれ前項の規定により補助金の支払を行うものとする。

3 補助金のうち必要があると認められる金額については大蔵大臣と協誘して前払をすることができるものとする。

4 被交付者が補助金の支払を受けようとするときは、第1項の場合においては請求書(別記様式第3号)を、前項の場合においては請求書(別記様式第4号)を総理府原子力局に提出するものとする。

5 前項の支払を受けた者は領収書(別記様式第5号)を総理府原子力局に提出するものとする。

(帳簿記載)

第8条 被交付者は帳簿を備え、補助金交付の対象となった試験研究(以下「被交付試験研究」という。)の遂行についての収支の額及び補助金の使途を明記しなければならない。

(試験研究の経過に関する届出)

第9条 被交付者は毎4半期(第4・4半期を除く。)における被交付試験所究の遂行の状況に関し当該4半期終了後20日以内に試験研究中間報告書(別記様式第第6号)を総理府原子力局に提出するものとする。

2 被交付者は毎会計年度終了後1月以内に当該会計年度における被交付試験研究の実施状況及び補助金の使用状況に関する試験研究年度末報告書(別記様式第7号)を総理府原子力局に提出するものとする。

(試験研究終了の認定等)

第10条 被交付者は被交付試験研究が終了したときは終了後2月以内に試験研究終了届出書(別記様式第8号)を総理府原子力局に提出し終了の認定を受けるものとする。

2 被交付者は前項の終了の認定を受けた後2月以内に詳細な試験研究の成果を記載した試験研究成果報告書(別記様式第9号)を総理府原子力局に提出するものとする。

(計画変王の承認等)

第11条 被交付者は試験研究計画書に記載された内容を著しく変更しようとするときはあらかじめ試験研究計画変更承認申請書(別記様式第10号)を総理府原子力局に提出し変更の承認を受けるものとする。

2 前項の承認には必要な条件を附することができる。

3 被交付者は被交付試験研究を廃止した場合は遅滞なくその旨を記載した試験研究廃止届出書(別記様式第11号)を総理府原子力局に提出するもの

 とする。

4 第1項の申請書又は前項の届出書の提出があった場合は当該申請書又は届出書を提出した者に対して第3条の規定による補助金の交付の決定を取り消し又は変更することができる。

5 前項の規定による取消又は変更を待った場合は期限を附してすでに交付した補助金の全部又は一部の返還を命ずることができる。

(事故の届出)

第12条 被交付者は被交付試験研究の遂行に重大な支障を生ずる事故が発生したときは遅滞なく当該事故の原因及び状況並びにこれに対する措置に関する事故届出書(別記様式第12号)を総理府原子力局に提出するものとする。

(収益の納付)

第13条 被交付者は被交付試験研究の結果により別に定める期間内に一定の収益を生じたときはその旨を記載した届出書を総理府原子力局に提出するものとし、内閣総理大臣は被交付者が相当の収益を得たものと認定したときは交付した補助金の全部又は一部に相当する金額を国に納付させるものとする。

(成果の公開)

第14条 内閣総理大臣は被交付試験研究の成果を公開し又は公開させることができるものとする。

(身分を示す証票)

第15条 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律179号)第23条第2項の規定による証票は別記様式第13号とする。

(提出書類の部数)

第16条 この規則による書類の提出部数は次のとおりとする。