国際原子力機関について 3月23日の第19回定例委員会では、外務省から河崎国際協力局長を招き、主として国際原子力機関の問題を中心に最近の対外事情を聴取したがその大要は以下のごとくである。 国際原子力機関の規約草案作成については、さる2月27日からニューヨークに起草委員国12カ国が集まってその完成をいそいでおり、近く草案が発表されるはずであるが、当初案によれば同機関の理事国は原子力先進国5(米、英、ソ、加、仏)、材料生産国5(オーストラリア、ベルギー、チェコ、ポルトガル、南ア)、受益国6(総会で選出)をもって構成するものとされており、わが国としてもぜひ理事国の一員に加わりたく、その希望を上記12カ国に対し表明してきた。また当初案に対するわが国の見解についても起草委員諸国に送付しておいた。各国の反応をみると英連邦諸国をのぞいては日本の理事国加入希望にたいしかなり好意的意向を示しており、わが国の草案に対する見解を記した意見書も相当重く評価されている模様である。 その後理事国数も原案よりふえる見透しが強くなってきたので、そうなればわが国の理事国へ選出可能性も増すものと思われる。 この国際原子力機関の問題については、さらに5月3日の第25回定例委員会で同じく河崎局長から委員会へ次のごとき報告が行われた。すなわち上述の起草委員会はようやく4月18日に国際原子力機関(IAA)の最終規約案を発表し本年秋(9月下旬)に世界84カ国(国連、同専門機関の加盟諸国)代表を招き設立総会を開くこととなった。 最終案によれば国際原子力機関の理事国数は当初案の16カ国から23カ国まで増加しており、その内訳は次のごとくである。
以上の理事国内訳からみて、わが国はb.の地域別先進国中極東アジア・グループから指名される可能性がきわめて強くなったわけである。なお地域別先進国で日本が落ちても、d.の技術提供国のグループから選ばれる可能性があるともいわれる。 なお総会において理事国23カ国が決定するまでは、起草委員会を構成した12カ国(オーストラリア、ベルギー、 ブラジル、カナダ、チェコスロヴァキア、フランス、インド、ポルト ガル、南ア連邦、ソ連、英国、米国)と、国際原子力機関規約に関する国際会議によって選ばれる他の6カ国、計18カ国の代表をもって設立される準備委員会がその任務を行うことになっているから、わが国が理事国に指名されるためには、まずこの準備委員会に加わることが肝要と思われる。 |