購入原子炉の価格および援助額

 原子力研究所が米国から購入するウォーター・ボイラー型原子炉はNAA社との間に契約成立したが、その価格は日本側の希望する一部設計変更をもふくめ総額において3万ドル余ふえ結局その契約価格は25万8000ドルとなったが、この点は第18回定例委員会で報告され了承された。

 なお同委員会においては、双務協定にもとづき各国が購入する研究用炉にたいしかねて米国大統領が言明していた半額援助問題について次のごとき報告が行われた。すなわちジュネーヴ原子力平和利用会議が開かれる直前の昨年7月、アイゼンハウア一大統領は米国との間に原子力協定を結んだ諸国にたいし同協定にもとづき購入する原子炉価格の半額を援助する用意があると声明し、1955〜56年度予算に500万ドルの枠をとったのであるが、その後この半額援助が具体的にどのように実施されるかについて外務省を通じて米国政府の意向を確めたところ、最近ようやく次の諸点が判明した。

1 この援助が実際に適用されたのはこれまでスイス1カ国であること。
2 ある国が双務協定にもとづき研究炉1基以上を購入する場合はそのうちの1基のみに援助が適用されること。
3 上記の場合、必ずしも最初に購入する炉に適用されるとは限らず、どの炉に援助するかは購入国の意向により決定してよいこと。
4 援助金額は建前として購入原子炉価格の半分であるが、それには制限があり最高35万ドルまでに限られること。
5 上記の援助は必ずしも1955〜56会計年度内に発註された炉にのみ適用されるわけではなく次年度においても援助可能であること。

 以上の諸点よりして、わが国としては1基だけしか援助適用を受けないとすれば、比較的安価なウォーター・ボイラー型炉よりも高価なCP−5型炉に援助を受けた方が得策であることは明白である。その場食前記大統領基金が1955〜56会計年度のものであることからみて、CP−5型炉を本年6月末まで発註しなければ援助適用を受けえなくなるのではないかと案じられたのであるが、その後米国は来会計年度にも585万ドルの援助基金を計上しており、CP−5型炉の発註が本年下半期に入っても最高35万ドルまでの援助適用が可能であることが判明したわけである。

 しかしながら、CP−5型炉の価格見透しはおよそ200万ドルないし250万ドルといわれ、それに対する援助が一率半額におよぶか、35万ドルで制限されるかはわが国にとっても財政上相当の影響があるので、さらに改めて次の事項につき米国側の意向を確めることとなった。

1 購入原子炉半額援助に関連し他の対米原子力協定諸国の態度および動向
2 米国が援助額を当初大統領声明と異なり最高35万ドルに制限したことの理由
3 半額援助を求める場合の手続等措置

 なお米国AECは、購入原子炉に対する上記援助適用の際の差額について米輸出入銀行の借款供与方を斡旋してもよいとの意向を表明してきているので、その点に関してさらに内容の確認を求めることとなった。