31年度原子炉導入計画に関する決定

 昨年6月21日米国政府との間に仮調印が行われた日米原子力協定はその後11月14日本調印が行われ、さらに12月16日国会の承認を受け、12月28日日米両国の間に批准書の交換が行われ正式に発効するにいたった。これにともない財団法人原子力研究所は、さきに原子力利用準備調査会が決定していた線にそって、米国よりの研究用原子炉の購入交渉を行うため、政府において正式に原子炉の導入計画を決定されたいむね、委員会に要請してきた。委員会は第5回定例委員会において、昭和31年度の原子炉導入計画につき閣議決定を求めることとし、下記のごとき案を決定した。なおこの導入計画は1月27日の閣議において決定され、外務省を通じて米国政府へも伝達された。

昭和31年度における原子炉の導入計画について

 昭和30年11月原子力利用準備調査会において決定をみた「原子力研究開発計画」の趣旨にそい、また昨年末効力を発生した「日米原子力協定」の実効発揮に遺憾なきを期するため、政府は、昭和31年度において財団法人原子力研究所に、ウォーターボイラー型原子炉1基を米国より購入せしめるとともに、CP−5型原子炉1基を米国に対し発註せしめるものとする。

 一方財団法人原子力研究所は米国から購入すべきウォーターボイラー型原子炉について早くから資料調査を行っていたが、上記のごとき導入計画に関する委員会の方針が決定したので、至急に所員を米国へ派遣して具体的な購入交渉を行うこととし、総理府原子力局の承認をえて1月24日、杉本、神原両所員を派米した。両所員は米国においてAEC,GE,NAA等を訪れ種々設計上の具体的折衝を行い、2月20日帰国した。原子力委員会は2月24日両氏を招いて米国における交渉内容を詳細にわたって聴取した。その後原子力研究所は、理事会においてウォーターボイラー型原子炉をノースアメリカン・エヴィエイションから購入することに決定し、同社に発註したきむね3月3日付書面をもって原子力局長宛申請してきたので、原子力局は委員会にはかった上3月7日付をもって申請を認可し、ここにウォーターボイラー型原子炉の購入は米国NAA社より行うことが正式に決定された。なおこの決定については、日米原子力協定に関連する事項であるので、直ちに外務省を通じ米国政府へ通報された。