第2章 新長期計画策定の背景としての内外の原子力開発利用の現状
4.原子力発電の現状と見通し

(1)我が国の原子力発電の状況

 1963年10月26日,日本原子力研究所の動力試験炉(JPDR,軽水型,電気出力12,500キロワット)が運転を開始し,我が国初の原子力発電が始まったが(後にこの日を「原子力の日」と決める),その後,我が国の発電設備容量は順調に伸び,1978年には1,000万キロワット,1984年には2,000万キロワット,1990年には3,000万キロワットを超えた。
 1994年3月に九州電力(株)玄海原子力発電所3号炉(電気出力118万キロワット),8月に東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所4号炉(電気出力110万キロワット)がそれぞれ新たに運転を開始したことにより,1994年9月末現在,運転中の商業用発電炉は47基,発電設備容量は3,947万6千キロワット,新型転換炉原型炉「ふげん」を含めると,48基,3,964万1千キロワットとなっている。これは,米国,フランスに次ぐ世界第3位の設備容量である。


*現在中国で運転されている原子力発電所は,現時点(1994年10月末)で運転許可証が発給されておらず,法規上は試運転の状態であるが,実質的に充電を行っていることから,商業運転と称されている。IAEAの年報等でも運転中として扱われている。

 建設中の商業用発電炉は,上記の2基が運転を開始したことにより,5基,560万7千キロワット高速増殖原型炉「もんじゅ」を含めると,6基,588万7千キロワットとなった。「もんじゅ」は,1994年4月に初臨界に達し,1995年12月の本格運転開始に向けて,現在性能試験運転を行っている。
 以上,運転中及び建設中の発電炉は54基であり,発電設備容量は4,552万8千キロワットである。また,建設準備中のものは,1994年3月に東北電力(株)女川原子力発電所3号炉(電気出力82万5千キロワット)が電源開発調整審議会にて新規電源開発地点として決定されたことにより,合計2基,165万キロワットとなった。
 以上の運転中,建設中及び建設準備中のものを含めた合計は,商業用発電炉で54基,4,673万3千キロワット,研究開発段階発電炉を含めると,56基,4,717万8千キロワットである。

 原子力発電は,1993年度末現在,総発電設備容量(電気事業用)の20.2%,1993年度実績で,総発電電力量(電気事業用)の31.2%を占め,主力電源として着実に定着してきている。
 また,1993年度の設備利用率は,75.4%で,1983年度に70%を超えて以来,11年間続いて70%台の高い水準で推移してきている。設備利用率が1992年度に比べ増加した主な原因は,定期検査及びトラブルによる停止期間の割合が減少したことである。また,主要国の設備利用率と比較してみると,我が国の設備利用率は高い水準となっている。


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