第II部 各論
第3章 核燃料サイクル

7.核燃料サイクル関連施設の立地

 核燃料サイクル関連施設の立地については,原子力発電所と異なり既存の例が少ないこと等から,地元の理解と協力を得るための十分な配慮が必要である。青森県六ケ所村の核燃料サイクル関連施設については1993年4月に再処理工場が建設着工し,すべての施設が具体的に建設ないし操業段階に至ることとなった。
 1984年4月の電気事業連合会からあ青森県に対するウラン濃縮施設,再処理施設,低レベル放射性廃棄物埋設施設の立地の包括的協力要請からの経緯を示せば次のとおりである。
① 1984年4月,電気事業連合会が青森県に対し3施設の立地の包括的協力を要請。
② 1984年7月,電気事業連合会が青森県六ケ所村への一括立地,事業規模等を決定,青森巣及び六ケ所村に対しその旨を報告し,立地協力を要請。
③ 1984年7月,政府がむつ小川原総合開発会議を開催。青森県より説明を受け,各省庁がそれぞれの立場から,核燃料サイクル施設のむつ小川原工業開発地区への立地を想定し,生ずる課題について検討を進める旨を確認。
④ 1985年4月,青森県及び六ケ所村は立地協力要請を受諾する旨を回答。青森県,六ケ所村,日本原燃サービス(株),日本原燃産業(株)は電気事業連合会立会の下に,[原子燃料サイクル施設の立地への協力に関する基本協定書」を締結。青森県,核燃料サイクル施設の立地とむつ小川原開発第二次基本計画の調整を図るため,青森県むつ小川原開発審議会の了承等所要の手続きを経て,むつ小川原開発第二次基本計画を修正。
⑤ 1985年4月,青森県のむつ小川原開発第二次基本計画の修正を受け,むつ小川原総合開発会議を開催し,むつ小川原開発について,申合せを行い,4月26日の閣議において,この申合せに基づき国としてむつ小川原開発の推進を図ることを口頭で了解。この間,核燃料サイクル事業化の意義やこれに対する国の基本的立場について広報活動を行うなどの措置を講ずる。
⑥ 1988年8月,内閣総理大臣から日本原燃産業(株)に対してウラン濃縮施設について加工事業の許可(1992年3月に150トンSWU/年の規模で操業を開始)。
⑦ 1990年11月,内閣総理大臣から日本原燃産業(株)に対して低レベル放射性廃棄物埋設施設について事業の許可(1992年12月に操業を開始)。
⑧ 1992年4月,内閣総理大臣から日本原燃サービス(株)に対して廃棄物管理施設について事業の許可(同年5月建設工事が開始)。
⑨ 1992年7月,日本原燃サービス(株)と日本原燃産業(株)が合併し,日本原燃(株)が発足(本社,青森市)。
⑩ 1992年12月,内閣総理大臣から日本原燃(株)に対し再処理の事業指定(1993年4月に建設工事開始)。
 これらの状況の一方で,1989年7月には,六ケ所ウラン濃縮施設の,1991年11月には,低レベル放射性廃棄物埋設施設の,また,1993年9月には,六ケ所高レベル放射性廃棄物管理施設の事業許可処分に対する取消訴訟等が青森地方裁判所に提起され,現在,係争中である。
 このような状況を踏まえ,国においても引き続き,パンフレット,広報テレビ番組の活用,対話を重視した地域座談会,シンポジウム等の開催等により広報活動を行っている。


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