第2章 我が国経済社会に根づく原子力
(3)原子力産業の発展

ホ)原子力産業の成長

 以上のように原子力市場についてその発展を述べてきたが,原子力産業の発展を定量的にとらえてみると,まず原子炉機器の国産化率については商業炉1号(日本原子力発電(株)東海発電所)が35%であったのに対し,現在はほぼ100%になっている。
 また,その売上高も軽水炉が初めて運転を開始した昭和45年の600億円から昭和58年には約1兆3千億円と名目で約20倍,実質で約10倍と成長している。その結果,我が国産業全体の総産出額の約0.5%と通信機産業やコンピュータ産業とほぼ同規模となっている。
 一方,原子力事業の経営指標をみる上で,1つのパロメータとなる売上高と支出高の差引収支も近年黒字基調 (58年度黒字は696億円)が定着化してきており,これまでの開発投資を回収し原子力事業での経営基盤が固まりつつある。
 また,原子力関係従事者も昭和45年の15,000人から昭和58年には66,000人と4.5倍に増大しており,わが国の原子力産業は自立期を迎えているといえよう。


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