第1章 平和利用と国際関係

(2)国際原子力機関への協力

国際原子力機関(IAEA)の構想は,昭和29年,30年の国連総会の決議を経て次第に具体化し,昭和31年10月23日,国際 原子力機関憲章が採択され,我が国は10月26日に調印した。その後日本を含めた18ヵ国により構成される準備委員 会により設立準備が進められ,翌昭和32年7月に国際原子力機関が正式に発足するに至り,我が国も理事国としてそ の運営に参画することとなった。
 IAEAは①核燃料物質のプールと提供,②提供される核燃料物質等が軍事転用されないための保障措置(脚注)の実施,③加盟国間の情報交換と技術者交流の促進,を主な業務とした。
 特に,IAEAの発足当初は核燃料物質の提供がその最も重要な任務と考えられており,我が国は,この核燃料物質の提供に関するIAEAの活動の具体化,および保障措置の具体的実施方法の確立を図るためには,IAEAに対し核物質の提供を求めることが有効であるとの観点から,昭和33年,他の加盟国に先がけて,当時日本原子力研究所に建設計画中のJRR-3(国産1号炉)用の燃料供給をIAEAに要請し,これに関し昭和34年にIAEAと協定を締結した。さらに我が国は,IAEA保障措置の有効性,効率性等に鑑み,二国間協定で義務付けられている保障措置のIAEA移管を積極的に進め,その発展に貢献した。そのほか,現在に至るまで各種国際会議の開催,研究の設立運営,発展途上国への援助等の活動に積極的に協力してきている。


(脚注)
保障措置:有意量の核物質が平和な原子力活動から核爆発装置の製造のため又は不明目的のために転用されることを適時に探知するための管理検認の制度を言う。


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