各論
第9章 国際協力活動

1 先進国との国際協力

(1)二国間協力

イ)米国との協力
 米国との間には,原子力の安全研究一般についての協力に関する「日米原子力安全性研究協力取決め」を始めとし,「日米高速増殖炉協力取決め」,「日米核融合研究開発協力取決め」,「ROSA-IV計画日米研究協力取決め」等が締結され,研究者の相互派遣等による協力が活発に行われている。また,原子力の安全規制の情報交換については,「日米規制情報交換取決め」に基づき,専門家の交流等が行われている。

ロ)西独との協力
 西独との間には,軽水炉の安全研究に関する「日独軽水炉安全性研究協力取決め」を始めとし,「NSRR/PNS共同研究取決め」,「日独高温ガス炉協力取決め」,「高レベル廃棄物管理分野技術協力取決め」等が締結されている。
 また,日独科学技術合同委員会の下に,保障措置,核燃料サイクルの安全性等についても協力が行われている。

ハ)フランスとの協力
 フランスとの間には,軽水炉の安全研究に関する「日仏軽水炉安全性研究取決め」を始めとし,「NSRR/PHEBUS共同研究取決め」,「日仏規制情報交換取決め」等が締結されている。

二)その他の国との協力
 英国との間には「日英高速増殖炉取決め」,カナダとの間には「日加重水炉協力取決め」が締結され,情報交換を主体とした協力が行われている。
 また,豪州との間では,59年5月に高レベル放射性廃棄物の岩石固化(シンロツク法)に関する研究協力が日豪間の口上書交換に基づき開始されることとなった。

(2)多国間協力

イ)従来からの多国間協力
 安全研究に関して,日本原子力研究所は,西独研究技術省及び米国原子力規制委員会(NRC)との間で,「大型再冠水研究協力取決め」を締結しており,冷却材喪失事故(LOCA)時の再冠水中の緊急炉心冷却装置の挙動に関する研究協力を行っている。
 また,高速増殖炉に関して,動力炉・核燃料開発事業団はカールスルーエ研究所,インターアトム社(西独)及びフランス原子力庁との間で,三国間の高速増殖炉開発に関する協力を,また,フランス原子力庁カダラッシュ研究所のCABRI炉を使用して行われている「日独仏共同カブリ計画」に参加し,各種の情報交換,専門家会合等を行っている。

ロ)サミット協力プロジェクト
(i) 制御熱核融合
 専門家会合の開催等により,個々のプロジェクトを調整し,共同計画を推進すべく準備を行っている。
(ii) 高速増殖炉
 専門家会合の開催等により,安全設計基準,コストダウン,プラント経験等の分野での協力について検討が行われている。

(3)国際機関との協力

イ)国際原子力機関(IAEA)
 我が国は,保障措置,放射性物質輸送基準等IAEAの主催する原子力に関する各種シンポジウム,専門家会合等に多数の専門家を派遣し,また,我が国でこれら会合を開催し,情報の収集と交換を行っている。また,RCA計画を通して開発途上国援助に関する協力やIAEAが行う保障措置の改善を支援することを目的として対IAEA保障措置支援計画(JASPAS)による協力を行っている。

ロ)経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)
 OECD/NEAにおいては,原子力施設の安全性,放射性廃棄物管理,原子力の開発と核燃料サイクルの経済的,技術的検討,並びに放射線防護及び公共保健の四分野を中心として技術的側面を主体に,これに政策的側面を併せた活動が行われている。また,昭和58年から,3年計画でその活動を一層活性化し,政策指向を目指した活動(「拡大計画」)が,加盟各国の特別拠出により実施されている。
 我が国は「ハルデン計画(プラント制御法及び計算機の応用に関する研究並びに燃料の性能及び信頼性に関する研究)」,「国際ストリパ計画(放射性廃棄物の地層処分に関する試験研究)」,「NEAデータバンク計画」,「国際ウラン資源評価計画」,「LOFT計画」等のプロジェクトに参加し,資金の分担及び専門家の派遣等を行っているほか,NEAの主催する各種委員会,シンポジウム,専門家会合等に多数の専門家を派遣し,意見交換,情報収集等を行っている。

ハ)経済協力開発機構国際エネルギー機関(OECD/IEA)
 我が国は,OECD/IEAの場を通じて,核融合研究に関し,「TEXTOR計画 (プラズマと壁面の相互作用の研究)」,「核融合超電導磁石計画」,「核融合材料照射損傷研究開発計画」等に参加し,専門家派遣,各種の情報交換等を行っている。


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