第10章 核拡散防止
4 保障措置

(3)保障措置技術に関する研究開発

 日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団,(財)核物質管理センターにおいて,保障措置の適用をより効果的・効率的なものとするための研究開発を進めている。

 昭和57年度の我が国における保障措置技術開発項目は,表のとおりであり,今後の大型原子力施設に対する保障措置適用のための研究開発,再処理施設等のプルトニウム取扱い施設及びウラン濃縮施設に対する保障措置適用のための研究開発等に重点を置いている。
 また,国際的には,IAEAの保障措置技術研究開発を我が国として支援するため,「対IAEA保障措置技術支援協力計画(JASPAS)」を,米国,イギリス,西ドイツ,オーストラリア,カナダ等に次ぎ,昭和56年11月に発足させた。また,昭和57年7月,JASPASの発足に関する日本国政府とIAEAとの間の書簡交換に基づき,第1回日本・IAEAJASPAS合同委員会が東京で開催され,昨年11月の発足以来進めてきた9つのプロジェクトのレビューを行うとともに,今後の新たなプロジェクトについて検討が行われた。その結果,現在のJASPASプロジェクトは次表のとおりである。
 また,昭和57年5月には,第7回日独科学技術合同委員会が東京で開催され,現行の日独科学技術協力協定の枠内で,新たに保障措置を協力分野として追加することが合意されたことにより,日本と西独の保障措置協力が開始されることとなった。
 国際的な多国間プロジェクトにおいても,昭和55年9月,日,米,豪,トロイカ三国(英,西独,オランダ),IAEA,ユーラトムの6者により発足した「遠心分離法濃縮施設保障措置技術開発国際協力プロジェクト(Hexa―partite Safeguards Project)」に積極的に参加し,昭和56年11月には第4回全体会合が東京で,昭和57年3月には,第5回全体会合がオーストラリアのシドニーで開催された。本プロジェクトにおいては遠心分離法ウラン濃縮施設が特に核不拡散上重要な施設であること等を勘案し,いかなる方法によってこれらの施設に対する保障措置を効果的かつ実行可能なものとすることができるかということが中心課題となっており,討議が重ねられている。また,IAEA主催の「再処理施設の保障措置に関する国際作業部会(IWG-RPS,昭和56年10月終了)」,及び保障措置評価手法の確立,設計段階における保障措置の考慮,施設内設置機器の保障措置への活用,分析手法の確立等に関する専門家会合に我が国は積極的に参加している。


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