第10章 核拡散防止
3 核拡散防止に関する国際秩序形成のための国際的協議と我が国の立場

(1)国際核燃料サイクル評価(INFCE)後の諸問題

 昭和52年から昭和55年にかけて行われたINFCEの結果を受けて国際プルトニウム貯蔵(IPS),国際使用済燃料管理(ISFM),核燃料等の供給保証(CAS)等の国際的制度に関する多国間での検討事項について,国際原子力機関(IAEA)を中心に検討が進められている。

i 国際プルトニウム貯蔵(IPS)
 IPSについては,IAEAの専門家会合で検討されており,現在までに6回(昭和53年12月,昭和54年5月,11月,昭和55年5月,昭和56年5月,11月)開催され,30ヵ国,2国際機関が参加している。
 昭和57年6月までに,専門家会合で設置された各専門グループの検討は終了し,57年12月までに専門家会合の最終報告書がとりまとめられる予定である。

ii 国際使用済燃料管理(ISFM)
 ISFMについても,IAEAにおいて検討され昭和57年7月までに6回(昭和54年6月,11月,昭和55年7月,昭和56年6月,昭和57年5月,7月)の専門家会合が開催されその検討を終了した。検討には22ヵ国,2国際機関が参加し,主に,使用済燃料の貯蔵及び輸送に係る技術的,経済的な検討及びこれに係る制度面からの検討が行われた。

iii 核燃料等供給保証(CAS)
 昭和55年6月,IAEA理事会により,核不拡散を確保しつつ原子力資材,技術及び核燃料サービスの供給をいかに保証するかを検討し,理事会に助言する「供給保証委員会(CAS)」が設置された。同委員会には51ヵ国,4国際機関が参加しており,現在までに5回(昭和55年9月,昭和56年3月,6月,11月,昭和57年4月)開催されている。
 昭和56年11月に開催された第4回委員会において審議計画に基づきワーキンググループが設置され,検討が進められている。
 我が国としては,NPT体制の維持強化を図りつつ供給保証と核不拡散両立をめざすとの基本的立場に立って,この検討に参加しているところである。

iv 原子力平和利用国連会議
 昭和54年12月,国連総会でユーゴスラビアを中心とする国々の提案による原子力平和利用の国際協力を推進するための国際会議(原子力平和利用国連会議)を原則として昭和58年に開催することが決議された。なお本会議の準備委員会第1回会合が昭和56年8月,第2回会合が昭和57年6月ウィーンで開催されている。


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