第5章 核燃料サイクル
2 ウラン濃縮

(2)ウラン濃縮技術の研究開発

 我が国においては,自主技術によるウラン濃縮工場を稼動させるべく,昭和48年度から国のプロジェクトとして,動力炉・核燃料開発事業団を中心に遠心分離法によるウラン濃縮技術の開発を推進してきている。
 同事業団は,岡山県人形峠において,昭和54年9月以来パイロットプラントの一部運転を続けてきたが(昭和54年9月に遠心分離機1,000台運転開始,昭和55年10月に新たに遠心分離機3,000台運転開始),昭和57年3月末からは,遠心分離機合計7,000台による全面運転を開始している。

 パイロットプラント以降商業プラントに至るまでのウラン濃縮国産化の推進方策については,原子力委員会ウラン濃縮国産化専門部会における審議を踏まえ,原子力開発利用長期計画の中で次のような計画が掲げられている。
i 昭和60年代前半に商業プラントの運転を開始し,順次プラント能力の増大を図り,少なくとも,昭和70年頃に1,000トンSWU/年,昭和75年頃に3,000トンSWU/年程度の規模とする。
ii 濃縮プラントの信頼性・経済性の向上を図るとの観点から,商業プラントに先立って原型プラントを早急に建設・運転することとし,民間の積極的な参画の下に,動力炉・核燃料開発事業団がこれに当たる。
iii 原型プラントの規模としては200トンSWU/年程度と考えられるが,この建設・運転への民間の参画を通じて,動力炉・核燃料開発事業団に蓄積されてきた遠心分離法ウラン濃縮技術の民間への移転を円滑に進めていくことにより濃縮事業の確立に資する。一方,民間においては,原型プラントの建設・運転に参画しつつ,商業プラントの建設計画の具体化を進めることを期待する。
iv 原型プラントは,その運転が安定化した段階において,ウラン濃縮事業の一部としての活用を図る。
 一方,遠心分離法以外のウラン濃縮技術の研究開発については,民間企業において化学法ウラン濃縮技術の試験研究及びシステム開発調査が進められており,これに対し科学技術庁及び通商産業省により助成措置が講じられている。また,レーザー法によるウラン濃縮の研究が,日本原子力研究所及び理化学研究所において進められている。


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