第3章 核燃料サイクル
2 ウラン濃縮

(2)ウラン濃縮技術の研究開発

 遠心分離法については,原子力委員会「ウラン濃縮技術開発懇談会」が昭和47年10月にとりまとめた研究開発基本計画に沿って,その研究開発が動力炉・核燃料開発事業団により順調に進められ,昭和51年度には原子力委員会「核燃料サイクル問題懇談会」において,これまでの研究開発によりパイロットプラントに進むに足る技術的基盤が確立されたと判断された。
 この結論を受け,動力炉・核燃料開発事業団は昭和52年度より岡山県上斎原村(人形峠)において遠心分離機7,000台規模の濃縮パイロットプラントの建設を開始した。昭和54年9月にはこの一部である遠心分離機1,000台が運転を開始し,12月には3.2%濃縮ウラン約300kgの回収に成功した。なお同プラントは昭和55年10月には新たに3,000台の遠心分離機を加え4,000台による運転を開始しており現在,昭和56年秋の完成を目標として更に3,000台分について増設工事を行っている。

 また,パイロットプラントに続く次の段階のプラントについては,昭和55年度から新たに概念設計が実施されている他,より高性能の遠心分離機の開発等が引き続き実施されており,原子力研究開発利用長期計画に示された昭和60年代中頃の実用工場の運転開始に向けて所要の研究開発が進められている。
 なお,昭和55年10月17日には,上記動力炉・核燃料開発事業団のパイロットプラントを始めとするウラン濃縮技術の開発成果を踏まえ,実用濃縮工場の建設・運転に至るまでのウラン濃縮国産化の進め方について調査審議するため,原子力委員会のもとにウラン濃縮国産化専門部会が設置された。
 一方,遠心分離法以外のウラン濃縮技術の研究開発については,民間企業における化学ウラン濃縮技術の試験研究及びシステム開発調査に対し科学技術庁及び通商産業省により助成措置が講ぜられた。
 また,レーザー法によるウラン濃縮の研究が日本原子力研究所において進められた。


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