第Ⅰ部 総論
第3章 核不拡散をめぐる国際的動向

3 ウラン資源国との原子力協力協定改訂交渉

 〔日加原子力協力協定改訂〕
 カナダは,昭和49年12月及び昭和52年12月に発表したウラン輸出政策を実施するため,我が国に対しても原子力協力協定改訂交渉の申し入れを行い,昭和52年1月東京における第一次交渉を皮切りに,数次にわたる交渉が行われたが,交渉過程において,カナダは,対日ウラン禁輸措置を講ずる等強硬な姿勢を保ち,我が国は苦しい立場に立たされたものの,昭和53年1月,核物質の20%以上の濃縮及び高濃縮ウラン又はプルトニウムの貯蔵の事前同意条項等を新たに盛り込んだ改訂について合意に達した。なお,本交渉では,改訂内容が並行して進められていたカナダ・ユーラトム原子力協力協定改訂交渉結果の内容より我が国にとつて不利になつてはならないとの立場が基本的に堅持された。昭和53年8月,日加原子力協力協定改訂議定書の正式署名がなされ,同議定書は,今後国会の承認を得て発効することとなる。

 〔日豪原子力協定改訂〕
 ウラン資源国として,カナダと同様な立場にあるオーストラリアは,昭和52年5月,ウラン輸出に際して核不拡散のための措置を強化することを目的とし保障措置新政策を発表した。オーストラリアは,当該政策を実施するため,我が国に対しても原子力協力協定改訂交渉の申し入れを行つてきた。これを受けて,昭和53年8月,東京において第一次交渉が行われ,現在,継続中である。本交渉においても,我が国の原子力平和利用が損われないよう努める必要がある。


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