昭和53年版
原 子 力 白 書 昭和53年12月
原子力委員会
「昭和53年原子力年報」の公表に当たつて ここに昭和53年原子力年報を公表いたします。
我が国における原子力研究開発利用は,この20年の間に大きな進展を遂げ,既に18基1,150万キロワットの原子力発電所が稼働し,世界第2位の原子力発電国となるなど,関係各界の努力により,本格的実用化の段階を迎えております。
一方,近年は,立地対策等の諸問題が顕在化し,また,核不拡散をめぐる国際情勢も一層の厳しさを増す等,内外の情勢は大きく変化してきております。このため,原子力委員会は,昭和53年9月,新しい原子力研究開発利用長期計画を決定し,今後約10年間を目標とした長期的ビジョンと施策の重点を国民の前に提示いたしました。
また,昭和53年6月,原子力安全確保のための体制を一層強化するため,原子力基木法等が改正され,原子力安全委員会の新設と安全規制行政の一貫化が行われることとなり,原子力安全委員会(は,10月4日発足いたしました。
このような意味で,昭和53年は我が国の原子力研究開発利用史上画期的な年であつたと申せましょう。
原子力委員会としては,今後この新しい長期計画と体制の下で,原子力政策の計画的な推進に一層努力を傾注していく所存であります。
本年報は,内容的には,昭和52年4月から昭和53年10月4日の原子力安全委員会発足前までの期間をその対象としており,したがつてそれまでの間にあつて旧体制下での原子力委員会が所管していた安全関係分野の動きについても記述しました。
本年報が今後の原子力研究開発利用を進めていくに当たつて,国民各位の理解を高めることに役立つことができれば幸いであります。
昭和53年12月
国務大臣 原子力委員会委員長 金 子 岩 三
目 次