総論

第5章 新型動力炉開発と核融合研究

現在の原子力発電には主に軽水炉が使われているが,先進諸国においては,より効率のよい原子炉の実用化をめざして,高速増殖炉,新型転換炉等の開発を進めている。

高速増殖炉は,軽水炉や新型転換炉と異なり,高速中性子による核分裂反応を利用する原子炉で,核分裂を起こさないウラン238を核分裂性のプルトニウムに効率的に変えることができ,使った燃料以上の燃料が生成されるため,将来の原子力発電の主流になると考えられている。

しかし,高速増殖炉の実用化までには,長期にわたる研究開発が必要であり,我が国では,軽水炉と高速増殖炉の中間段階として,軽水炉に比べて中性子経済にすぐれ,軽水炉の技術の経験によって早期に実現が可能な新型転換炉(重水減速沸騰軽水冷却型)の開発を行っている。

他方,核融合は,その燃料となる重水素が海水中に実質的に無尽蔵に存在し,また高い安全性が見込まれることから,人類究極のエネルギー源として期待されており,各国でその実現を目指して研究開発が進められている。


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