第1章 安全性の確保総論

 原子力の開発利用は,安全性の確保が大前提であり,国は,原子力開発利用を推進するにあたっては,開発の当初から安全性の確保について十分留意し,必要な法令等を定め,これに基づく厳重な規制や,諸施策を講ずるとともに,安全性のより一層の向上を図るために安全性研究を実施してきた。
 原子力委員会では,原子力施設の安全性の確保及び環境保全に対する要請に応じ,必要な施策について検討するため,各方面の専門家により構成される環境・安全専門部会を昭和47年2月に設置し同専門部会において審議が進められてきたが,昭和49年10月に最終的にとりまとめられ,原子力委員会に報告された。
 原子力委員会では,同報告に盛られた意見を基に,昭和49年8月に,原子炉施設等の安全研究の推進について企画,審議をするため,専門家により構成される「原子炉施設等安全研究専門部会」を,昭和50年2月に,原子炉の安全審査のための技術基準等を審議するため,専門家により構成される「原子炉安全技術専門部会」をそれぞれ設置したほか,科学技術庁原子力局の安全審査宮の増強等安全審査体制の強化に努めてきたが,今後も引き続き体制の強化が必要と考えられる。
また,昭和49年2月には,安全に関する基本的な政策立案に資するため,原子力委員会に安全会議を設置し,検討を進めている。
 一方,放射性同位元素及び放射線発生装置の取扱いに係る安全性の確保については,放射線利用の拡大に伴い,最近,放射性同位元素の紛失,放射線の過剰被ばく等これらを取り扱う事業所における安全管理の不徹底が顕在化したが,これに対しては,「放射線障害防止関係省庁連絡会議」の設置,「放射線障害防止対策要綱」の策定・実施,「放射線障害防止中央協議会」の設置等の諸施策を講じてきたが,今後もなお引き続いてこれら施策の拡充強化が必要と考えられる。


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