昭和49,50年版

原 子 力 白 書
     
昭和50年9月

原子力委員会
 

昭和49,50年原子力年報の公表にあたって

 昭和49,50年の原子力年報(原子力白書)をここに公表いたします。
 昭和49年の年報は,諸般の事情から作成できなかったので,本年報においては昨年発表すべき昭和48年度の事項をも含め,最近2カ年間における施策の進展などを中心に記述しております。
 我が国の原子力平和利用は,昭和30年の原子力基本法の制定以来,満20年を迎えようとしておりますが,この間,一昨年末の石油危機を契機として,我が国のエネルギー供給安定化に果たすべき原子力の重要性が改めて認識されるに至っております。
 しかし,一方においては,近年の原子力発電所の立地の難行,あるいは,昨年の原子力船「むつ」の出力上昇試験をめぐる動きなどにみられるように,我が国の原子力開発の在り方,原子力の安全性等に関し,国民の間に種々の異なった意見のあることも事実であります。
 原子力委員会としては,かかる現状を真摯に受けとめ,原子力の安全性の向上,環境保全にこれまで以上の努力を傾注していくこととしております。
 本年報が,我が国の原子力開発利用に対する国民の皆様のご理解を深め,今後の原子力開発利用の進展に際しての国民的合意の形成に役立てば幸いであります。

昭和50年9月

国 務 大 臣  
原子力委員会委員長 佐々木 義武
 

 
目   次

総     論
 
第1章 安全性の確保
 
1 原子力施設等の安全対策
   (1)原子炉の設置,運転に伴う安全対策
   (2)核燃料物質の使用等に伴う安全対策
   (3)放射性同位元素等の取扱いに伴う安全対策
   (4)再処理施設の安全対策
2 安全性確保に関する研究
 
第2章 環境保全
 
1 放射性廃棄物の処理処分
   (1)放射性廃棄物処理処分の現状
   (2)放射性廃棄物処理処分に関する対策と調査・研究
2 環境放射能調査
   (1)核実験に関連する放射能調査
   (2)原子力施設周辺の放射能調査等
   (3)温排水に関する調査研究
   (4)米国原子力軍艦の寄港に伴う放射能調査
3 発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針の決定
4 低線量放射線の影響研究
5 (財)日本分析センターの発足
 
第3章 原子力発電の動向
 
1 原子力発電所の現況
2 原子力発電開発の円滑化のための施策
 
第4章 核燃料サイクルの確立
 
1 ウラン資源
2 濃縮ウラン
3 使用済燃料の再処理
 
第5章 新型動力炉開発と核融合研究
 
1 新型動力炉の開発
2 多目的高温ガス炉の研究開発
3 核融合の研究
 
第6章 原子力船の開発
 
1 原子力第1船の開発
2 原子力船の研究開発
 
第7章 放射線利用
 
1 医学利用
2 工業利用
3 農業利用
4 食品照射
5 放射線化学
 
第8章 原子力産業
 
1 原子炉製造
2 核燃料加工
 
第9章 国際協力
 
1 国際機関との協力
2 二国間協力
 
第10章 保障措置
 
1 IAEAによる保障措置
2 核兵器不拡散条約(NPT)に基づく保障措置
3 保障措置に関する研究開発
 
第11章 原子力開発利用関連施策
 
1 原子力知識の普及活動
2 国家試験
3 昭和49(48)年原子力開発利用動態調査
4 原子力損害の賠償
 
 (付録)
 
I 原子力委員会関係組織
   1 原子力委員会
   2 原子力委員会参与(50.7.1現在)
   3 専門審査会,専門部会,懇談会,会議(50.7.1現在)
   4 放射線審議会
II 原子力委員会の計画及び方針
   1.昭和49年度原子力開発利用基本計画
   2.昭和49年度核原料物質探鉱計画
   3.原子炉の設置に係る公聴会開催要領
   4.動力炉・核燃料開発事業団の動力炉
   5.原子力船「むつ」問題についての原子力委員会の見解
III 原子力関係予算
IV参考資料
   1 各国の原子力発電所設備容量(昭和49年12月末現在)
   2 原子炉の設置状況一覧(昭和50年7月1日現在)
   3 昭和48,49年度における原子炉安全専門審査会の報告
   4 米国原子力軍艦寄港実績(昭和48,49年度)
   5 昭和48,49年度原子力関係国際会議一覧
   6 原子力関係科学技術者の養成(i)研修機関一覧
   7 原子力開発利用動態調査結果
   8 原子力開発体制(昭和50年7月1日現在)
   9 原子力産業
   10 防災業務計画
V 昭和48,49年度年表