第7章 動力炉開発
§3 新型転換炉の開発

3 研究開発

(1) 炉物理研究
 重水および軽水の2領域に関する基礎的な炉物理データを得るための2領域臨界実験が,昭和45年度に終了したのにひきつづき,昭和44年度末に完成した大洗工学センダーの大型重水臨界実験装置(DCA)を用いて昭和46年度には,ウラン燃料による実験をすすめる一方,昭和47年度よりプルトニウム燃料による実験を行なうために施設の整備を行なった。
(2) 伝熱流動
 昭和45年度に完成した大型熱ループ(HTL)を用い炉心熱水力学データの確認,燃料チャンネル内の伝熱流動特性に関する実験を行なうとともに,第2次設計燃料によるバーンアウトマージンの確認,リング型スペーサの影響等燃料の健全性確認実験が行なわれた。
 このほか,日本原子力研究所に委託して,燃料集合体の流動抵抗実験,振動試験等基礎的な伝熱流動実験を行なった。
(3) 主要機器,部品の開発
 圧力管,カランドリア管と異種金属の接合部,シールプラグ等の試作開発をひきつづき行ない,熱衝撃試験等性能試験を行なうとともに,44年度に完成した部品機器試験施設(CTL)によりシールプラグの耐久試験を開始した。また,主蒸気隔離弁,1次冷却系の逆止弁,再循環ポンプの軸封装置,制御棒駆動装置等の試作およびこれらの機能試験をひきつづき行なった。
 さらに,燃料交換については,スナウト部等主要部品の試作開発を行なうとともに,原型炉における実規模の試作機の設計を完了し,製作を開始した。

 希ガスホールドアップ装置の開発については大型活性炭吸着塔による定常試験を終了し,非定常試験を行なっている。
(4) 燃料,材料の開発
 原型炉燃料について,昭和45年度にひきつづき,燃料集合体の試作を行ない,強制振動試験,フレッティング腐食試験を行なうとともに,CTLによる耐久試験を行ない,燃料集合体の改良に努めた。また,日本原子力研究所の材料試験炉(JMTR)およびノルウェーのハルデン炉による試作燃料の照射を行なうとともに,実規模の燃料集合体の照射を英国のSGH-WRで開始した。
 材料については,Zr-25%Nbの圧力管およびZry-2のカランドリア管について,引張試験,破壊検査等炉外評価を行なうとともに,日本原子力研究所の材料試験炉(JMTR)による照射を行なった。
(5) 安 全 性
 昭和44年度に完成した安全性実験装置を用いて,1次冷却系の内部および外部破断実験を行ない,安全解析および設計に必要なデータを取得L,さらに非定常冷却水注入予備実験および主蒸気管破断予備試験を行なった。また主蒸気隔離弁と逆止弁に関する性能,耐久性実証試験を昭和47年度に行なうため,それらの試作弁が安全試験施設に設置された。
 その他,上記の安全性実験の結果を取り入れて耐震設計コード,事故解析コード等安全解析コードの整備をすすめた。


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