昭和47年版

原 子 力 白 書
     
昭和47年8月

原子力委員会
 

はしがき

 わが国の原子力開発利用は,原子力発電,放射線利用等において着実に進展し,いまや国民生活にとって重要かつ身近な存在となっております。
 しかし,原子力開発利用を進めていくにあたっての道程は,必ずしも平坦であったわけではありません。とくに昭和46年度においては,環境問題に対する国民的関心が高まってきた中で,原子力の分野でも環境の保全や安全性の確保に関する問題が大きくクローズアップされ,一部では原子力発電所の設置に反対する住民運動もみられました。
 また,原子力発電の急速な進展に伴い,将来における核燃料の安定確保が重要な課題となってきております。
 このような背景のもとで,原子力委員会は昭和47年6月原子力開発利用長期計画を改訂し,環境の保全,安全性の確保を前提にわが国の原子力開発利用を円滑に推進していくための指針を明らかにしました。
 今後,原子力委員会としては,この新長期計画に基づき,国民の理解と協力を得てわが国の原子力開発利用を積極的に推進していく方針でありますが,このときにあたり,昭和46年度を中心とするわが国の原子力開発利用の動向を顧りみることはきわめて有意義であると考え,ここに第16回原子力年報を公刊する次第であります。

昭和47年8月

国  務  大  臣
原子力委員会委員長 中曾根 康弘
 

 
目   次

 
第1章 総論
 
 
第2章 原子力発電
 
§1 概要
§2 原子力発電所の建設
   1 原子力発電所の運転・建設状況
   2 原子力発電所の建設計画
§3 原子力発電所の立地
§4 世界の原子力発電
 
第3章 核燃料
 
§1 概要
§2 ウラン資源の確保
   1 天然ウランの需要とウラン市場の動向
   2 ウラン資源の長期的安定確保策
   3 海外ウラン資源の確保および調査探鉱活動
   4 国内ウラン資源の探鉱開発活動
§3 使用済燃料の再処理
   1 再処理施設の建設
   2 使用済燃料の再処理に関する研究開発
   3 使用済燃料の輸送
§4 核燃料の研究開発
 
第4章 濃縮ウラン
 
§1 概要
§2 ウラン濃縮に関する海外諸国の動向
   1 濃縮ウランの需給
   2 米国の動向
   3 欧州諸国の確保体制
   4 ウラン資源国の政策
   5 ソ連および中国の動き
§3 わが国の濃縮ウラン安定確保策
   1 日米原子力協定による供給確保
   2 ウラン濃縮に関する研究開発
   3 国際濃縮計画への参加
 
第5章 安全性の確保
 
§1 概要
§2 原子力施設の安全対策
   1 原子炉の設置,運転に伴う安全対策
   2 核燃料物質の使用にともなう安全対策
   3 放射性同位元素の使用等にともなう安全対策
§3 非常用炉心冷却設備(ECCS)問題の経緯について
§4 安全性確保に関する研究
§5 国家試験
 
第6章 環境保全
 
§1 概要
§2 放射性廃棄物の処理処分
   1 放射性廃棄物処理処分の概要と現状
   2 放射性固体廃棄物処理処分検討会
   3 放射性廃棄物の処理処分に関する研究
§3 環境放射能対策
   1 放射能対策本部の活動
   2 環境放射能調査および対策研究
§4 環境保全に関する研究
   1 原子力施設周辺環境に関する調査研究
   2 原子力発電所温排水の海産生物への影響に関する調査研究
§5 米国原子力軍艦の寄港
 
第7章 動力炉開発
 
§1 経緯
§2 高速増殖炉の開発
   1 概要
   2 実験炉の建設
   3 原型炉の設計
   4 研究開発
§3 新型転換炉の開発
   1 概要
   2 原型炉の建設
   3 研究開発
§4 研究施設の整備等
   1 研究施設の整備
   2 プロジェクト管理,国際協力,技術情報の管理
 
第8章 原子力船
 
§1 原子力第1船の開発
   1 概要
   2 原子力船「むつ」の建造工事
   3 定係港の建設等
§2 原子力船の研究開発
§3 原子力船の実用化の見通し
 
第9章 放射線利用
 
§1 概要
§2 医学利用
§3 農業利用
§4 工業利用
§5 放射線化学
§6 海外における放射線利用の動向
 
第10章 基礎研究および原子力特定総合研究
 
§1 基礎研究
§2 原子力特定総合研究
   1 概要
   2 食品照射
   3 核融合
 
第11章 原子力産業
 
§1 概要
§2 原子力産業の現状
§3 原子炉の国産化
   1 原子炉の国産化と将来の見通し
   2 在来型炉の研究開発
   3 国産化のための助成策
§4 核燃料加工産業
   1 軽水炉燃料
   2 研究炉用板状燃料
 
第12章 国際協力
 
§1 概要
§2 国際機関との協力
   1 第4回原子力平和利用国際会議
   2 国際原子力機関(IAEA)
   3 欧州原子力機関(ENEA)
   4 国連科学委員会(UNSCEAR)
§3 二国間協力
§4 開発途上国との協力
§5 調査団の派遣
 
第13章 保障措置
 
§1 概要
§2 保障措置に関する国際環境
§3 保障措置の実施状況
§4 保障措置に関する研究開発
 
第14章 原子力関係科学技術者の養成およびその他の活動
 
§1 原子力関係科学技術者の養成
§2 原子力知識の普及活動
§3 原子力開発利用動態調査
§4 原子力損害の賠償
§5 地帯整備,防災対策
   1 地帯整備
   2 防災業務計画の推進
 
第15章 原子力関係予算
 
§1 概要
§2 主要機関の原子力関係予算
   1 日本原子力研究所
   2 動力炉・核燃料開発事業団
   3 日本原子力船開発事業団
   4 放射線医学総合研究所
   5 その他
 
 (付   録)
 
I 原子力委員会関係組織
   1 原子力委員会(47.7.10現在)
   2 原子力委員会参与(47.7.10現在)
   3 原子力委員会原子炉安全専門審査会および専門部会
   4 原子力委員会,原子力局組織図
   5 放射線審議会の構成
II 原子力委員会の計画および方針
   1 昭和46年度原子力開発利用基本計画
   2 昭和46年度核原科物質探鉱計画
   3 動力炉・核燃料開発事業団の動力炉開発業務に関する第2次基本計画
   4 ウラン資源確保対策懇談会の設置について
   5 ウラン資源確保対策懇談会報告
   6 原子力第1船開発基本計画の改訂について
   7 長期計画専門部会の設置について
   8 アイダホ原子炉実験所における非常用炉心冷却設備の実験に関する原子力委員会委員長談話
   9 軽水炉の非常用炉心冷却設備の性能に関する原子力委員会委員長談話
   10 原子力事業従業員災害補償専門部会設置について
   11 濃縮ウラン対策懇談会報告
   12 濃縮ウラン安定確保策の推進について
   13 ウラン濃縮技術開発懇談会の設置について
   14 国際濃縮計画懇談会の設置について
   15 環境・安全専門部会の設置について
III 原子力関係予算
   1 原子力関係予算総表
   2 日本原子力研究所予算総括表
   3 動力炉・核燃料開発事業団予算総括表
   4 日本原子力船開発事業団予算総括表
   5 放射線医学総合研究所予算総括表
   6 国立試験研究機関原子力試験研究費予算総括表
   7 放射能測定調査研究費予算総括表
   8 放射性固体廃棄物の処分に関する海洋調査等予算総括表
   9 理化学研究所原子力予算総括表
   10 原子力委員会,原子力局関係予算総括表
   11 各省庁行政に必要な経費(原子力関係)
   12 昭和46年度原子力平和利用研究委託費交付一覧
   13 昭和47年度放射能測定調査委託費に関する経費一覧表
IV その他参考資料
   1 原子炉の設置状況一覧
   2 昭和46年度における原子炉安全専門審査会の報告
   3 発電用原子炉の国産化状況
   4 原子力学会年会応募発表論文の専門別内訳
   5 昭和46年度原子力関係国際会議一覧
   6 第13回放射能調査研究成果発表会における論文件数
   7 米国原子力軍艦寄港実績
   8 原子力開発利用動態調査結果の概要
   9 日本のおもな原子力関係映画一覧
V 昭和46年度年表