第6章 環境保全
§4 環境保全に関する研究

2 原子力発電所温排水の海産生物への影響に関する調査研究

 原子力発電所から生ずる温排水中に含まれる極微量の放射能の海産生物への濃縮および温排水の漁業への利用等について総合的に研究するため,放射能調査対策研究の一環として「原子力施設排水の海産資源への影響に関する調査研究」を昭和46年度より5か年計画で進めることとし,社団法人日本水産資源保護協会を本調査研究の委託先とし,研究に着手した。
 本調査研究のための施設としては,茨城県東海村の日本原子力研究所東海研究所構内に試験養魚池を建設して,日本原子力発電株式会社の東海発電炉および日本原子力研究所の動力試験炉(JPDR)からの温排水を導きこの池に供給することにしている。
 池は幅6m,長さ10m,深さ1.5mのもの12面,合計720m2である。
 sこのほか6.6×5×3mの混合槽および温排水,自然海水をそれぞれ最大毎分18トンで取水供給できるポンプおよび配管設備を備えている。
 池は,年間を通じて20°C前後の養魚に適した温度にするため,夏は自然海水,冬は温排水のみを利用し,春秋は,両方を混ぜ合せ使用することとしている。
 この池で養魚予定のものは,チダイ,アワビ,車エビなどであり,それらの生育状況や,放射性物質の濃縮等について水産庁東海区水産研究所,放射線医学総合研究所東海支所臨海実験所および県水産試験場の研究者がそれぞれ専門の立場から十分に調査検討を行なうこととしている。


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