第4章 濃縮ウラン
§3 わが国の濃縮ウラン安定確保策

2 ウラン濃縮に関する研究開発

 原子力委員会は昭和44年8月ウラン濃縮研究開発の重要性を考慮して,この研究開発の第1段階(45年〜47年)を原子力特定総合研究に指定し,さらにガス拡散法および遠心分離法の両方式について,技術的諸問題に関する解明の見通しを得ることを目標としたウラン濃縮研究開発基本計画を定めた。
 研究開発の分担は,ガス拡散法については,日本原子力研究所および理化学研究所,遠心分離法については動力炉・核燃料開発事業団が当たることとし,第1段階の終了時に諸外国における進展状況を勘案し,各方式の研究開発の成果を評価して,第2段階以降の方針を定めることとした。
 なお,これらの研究開発の総合的かつ効果的な推進を図るため,原子力局に各実施機関の関係者および学識経験者からなるウラン濃縮研究運営会議が設けられ,研究開発の実施計画の立案および調整にあたることとした。
 その後,昭和45年10月「濃縮ウラン対策懇談会」が設置され,研究開発のみならず,国際共同事業の可能性を含め総合的な検討が行なわれた結果,昭和46年12月原子力委員会は同懇談会の報告を受け9現段階での一応の方針を決定した。
 これによれば1980年代に濃縮ウランを国産化することを目標に研究開発を推進することとし,当面は大筋においてウラン濃縮研究開発基本計画の方針に沿いつつ,内外の情勢を勘案のうえ研究開発を行なうこととしている。
 すなわち,遠心分離法については,高性能遠心分離機の開発を重点に,所要の試験研究を行ない,また,ガス拡散法については,同方式の技術的なかなめである隔膜の高性能化に関する試験研究を重点に行なうとともに六フッ化ウラン循環ループの試験研究を継続して行なう。
 さらに,昭和47年1月,わが国における長期的かつ具体的なウラン濃縮研究開発の推進方策を検討するため,原子力委員会にウラン濃縮技術開発懇談会を原子力委員会に設置した。


目次へ          第4章 第3節(3)へ