§2 原子炉国産化への努力

  1原子炉国産化の現状と今後の見通し

 わが国の原子力開発利用が,米,英等先進諸国に比し,遅れて着手されたこともあり,わが国の原子力発電所建設技術は,著しくたち遅れていた。現在わが国の建設中の原子力発電所は,米国で開発された濃縮ウラン使用の軽水炉(BWRおよびPWR)が中心となっており,これらの発電所の建設は,主として米国から導入した技術をもととして行なわれている。すなわち,昭和36年三菱グループは米国WH社からPWRの製造技術を,また42年には日立および東芝が米国GE社からBWRの製造技術をそれぞれ導入し,これをもとに原子炉各種機器の国産化の努力が重ねられてきた。
 わが国における原子炉機器の国産化の最近の状況は(第3-1表)のとおりであるが,東京電力福島3号,中国電力島根1号においては,機器の国産比率は,約90%に達する見込であり,BWRに関しては75万KW級,PWRに関しては50万KW級までのプラントの国産化の体制は一応整ってきたと考えられる。
 しかし,現在,まだ国産化されていない機器のうち主要なものとしてば,核燃料,制御棒および同駆動装置,循環ポンプ,主蒸気隔離弁,計装装置などがある。核燃料については,民同企業による外国からの技術導入や,外国企業との提携による該燃料成形加工工場の建設などにより,核燃料成形加工の国産化の体制はかたまりつつある。

 制御棒および駆動装置は原子炉の安全上特に重要な機器であるが,国内メーカーは,それぞれ実物を試作し高温高圧下での各種実証試験を行なっており,近い将来国産品も使用ざれるものと思われる。循環ポンプ,主蒸気隔離弁は一般に大容量であり,国内メーカーには製作経験がないので当分は輸入に頼らざるを得ないと見られている。
 また,中性子束検出装置については,技術的に困難な点があること,需要が少く国産化すると割高になること等により,当面は輸入品を使用することとなるであろう。


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