§2 原子炉国産化への努力
  2在来型炉の研究開発

   (1)核燃料および燃料集合体

 原子炉の高圧力・大型化の傾向は最近著しいが,それに伴って燃料の設計も一段と苛酷な条件に耐えることが要求されている。このような情勢に対処して国産軽水炉燃料の開発に資するため,原研は昭和42年JPDRの改造(JPDR-II計画)の許可を政府に申請していたが,昭和44年9月に許可され,46年度末完成を目途に現在改良工事な推進している。JPDRーII計画では,125%負荷時において,線出力密度19,15kW/フィートが期待されるが,現在米国で建設中の大型原子力発電所のものと比較しても見劣りするものでばなく,軽水炉燃料の開発に大きな役割を果すものと考えられる。
 一方,原研を中心にノルウェーのハルデンプロジェクトに参加して,42年度から国産燃料集合体4体の照射試験を行っていたが,このうち2体については,照射後の各種データを入手した。さらに次期プロジェクトで照射される燃料集合体の詳細設計が行なわれた。
 民間においては,原子力平和利用研究委託費(委託費)をうけ,軽水炉におけるプルトニウム混合炉心の燃焼度特性およびブルトニウム装荷方法の解析評価に関する研究等が行なわれ,また原子力平和利用試験研究費補助金(補助金)をうけ,長尺燃料集合体構造の評価,ジルカロイ製長尺チャンネルボックスの試作等,炉心の大型化に対処して国産化に必要な技術開発のための諸研究が実施されている。
   (2)一次系機器

 一次系機器のうち,密封型先駆弁付安全弁については,前年度にひき続き補助金により試作品の確性試験が行なわれ,また原子炉の大型化に伴い炉内計装の重要度が増加している現状から,原子炉炉内計装の国産化のための試作研究が補助金により実施された。原子炉圧力容器,一次系配管については,その脆性破壊の伝播防止に関する研究が,委託費および運輸省船舶技術研究所により行なわれ,安全基準作成のための基礎資料が得られた。
   (3)安全防護設備

 格納容器内に設置される非常用フィルタについて,その性能を設置現場において検査する方法に関する研究が委託費により実施された。
 その他,原子炉の安全性に関する研究として,委託費により松代群発地震を利用し,地盤―建屋―機器―配管を一連の系とした模型構造物をつくり,その振動特性の解析を前年度にひき続き行ない,さらに原子炉過出力時の燃料破損特性を解明するために,くり返しパルス運転により急速加熱時の燃料破損要因となる諸因子の解明を行なった。
 なお,原研においては,原子炉大事故のひとつと考えられる冷却材流出事故を解明するための大型モックアップ装量を44年度に完成したが,今後これを使って大口経破断口からの冷却材流出現象,ブローダウン中における燃料棒からの伝熱特性,ブローダウンにより大型圧力容器内に生じる圧力振動および衝撃力についての研究が行なわれることになっている。


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