§3 米国原子力軍艦の寄港

 米国原子力軍艦のわが国への寄港については,昭和39年10月に原子力潜水艦シードラゴン号が佐世保港に初めて寄港して以来,昭和45年5月まで通算39回(横須賀22回,佐世保17回)をかぞえている。このうち,昭和43年1月に原子力空母エンタープライズと原子力フリゲート艦トラクストンが同時に,また昭和45年3月にはフリゲート艦トラクストンが寄港したほかすべて原子力潜水艦である。
 これら原子力軍艦の寄港に伴って,横須賀,佐世保両港および日本近海の海水,海底土,海産生物について年間4回の定期調査を実施したほか,原子力軍艦出港後,その停泊地点で採取した試料についても放射能調査を行なったが,平常と異なる放射能の値は検出されなかった。
 昭和44年度中における原子力軍艦の寄港実績は横須賀港に8回,佐世保港に1回であった。
 原子力軍艦の寄港時には,原子力軍艦放射能調査指針大綱にそって,科学技術庁から現地へ職員の派遣,当該港湾市の市職員および海上保安部の担当者,さらに,当該港湾市の所在する県の希望があれば職員を加えて,現地調査班を編成して放射能を実施している。
 現地調査班の調査内容は
(1) 主要モニタリングポストに調査班員の常駐および3時間毎の各モニタリングポストの巡回
(2) モニタリングポストは原則として1日1回運航し,所定の調査コースについて放射能測定の実施
(3) 採取海水の化学処理および波高分析器による指標核種の分析等である。
 このほか,沖縄の放射能調査について,琉球政府の要請にもとづき,44年4月,米国政府から日本政府に助言と協力の依頼があり,このため,政府は44年5月,沖縄へ調査団の派遣を行った。
 政府は調査団の調査報告にもとづき44年10月,米国政府を通じ,琉球政府に対して原子力艦入港に関連する放射能調査計画改善について勧告を行なうとともに,米国政府に対しても琉球政府のこの放射能調査に協力するよう申し入れた。


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