§3 IAEA保障措置

1 新保障措置制度の確立

 新しい日米原子力協力協定は,43年2月26日に署名され,同年7月10日に発効し,また,新しい日英原子力協力協定も,43年3月6日,署名され,同年10月15日に発効した。
 さらに,これら原子力協力協定に定められた保障措置の実施をIAEAに移管する保障措置移管協定も,原子力協力協定と同時に,それぞれ7月10日,10月15日に発効した。
 保障措置移管協定は,IAEAが具体的に保障措置を適用するための実施細目について,IAEAと日本との間に補足取極めを定めるべきことを規定しているが,この新しい補足取極めについての交渉が保障措置移管協定の発効と相前後して,本格的に開始された。
 同交渉は,43年12月に一段落し,補足取極めの本文について,44年3月1日から自動的に発効する旨の了解が,在オーストリア大使とIAEA事務総長との間の交換書簡により,成立するにいたった。
 この新しい補足取極めは,本文と付属書とによって,構成されており,本文は施設の種類(主要原子力施設,研究開発施設,その他施設)ごとに保障措置適用の原則的手続き(設計審査,記録制度,報告制度)および核物質に関する一般的保障措置手続き等を定めている。また,付属書は,動力炉,研究開発用原子炉,加工施設,研究開発施設,その他施設等,施設の種類ごとに記録制度および報告制度の要件,様式等について定めるものであり,研究開発用原子炉,研究開発用施設およびその他施設用付属書については,実質的に合意に達したが,動力炉および加工施設用付属書については,今後の交渉に委ねられている。

2 国内保障措置制度の整備

 新しい補足取極め本文が,44年3月1日に発効したことにともない,国内保障措置制度の一部を整備する必要が生じ,このため,核原料物質,核燃料物質および原子炉の規制に関する法律の関係規則の一部を改正する規則が,3月11日,公布施行された。
 その大綱は,①加工工場について,平常操業損失率を越える損失が発生した場合および研究開発施設等について規則で定める数量を越える核物質の損失が発生した場合ならびに研究開発施設等について規則で定める数量を越える核物質の在庫変動を生じた場合には,遅滞なく報告すること,②プルトニウムについては,核分裂性プルトニウムの量をあわせて報告することの2点である。


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