§1 国内における原子力開発利用の動向
1動力炉開発の本格化

 新しい動力炉の開発に関しては,これを「国のプロジェクト」として,関係各界の総力を結集して強力に推進するため,42年10月,政府は動力炉・核 燃料開発事業団を設立し,同事業団を中核とする体制の整備をすすめてきた。内閣総理大臣は,43年3月,動力炉・核燃料開発事業団法(動燃事業団法)にもとづき,原子力委員会の議決を経て,高速増殖炉および新型転換炉をそれぞれ昭和60年代の初期および50年代の前半に実用化するため,原型炉の建設,運転までの開発を目標とする動燃事業団の動力炉開発業務に関する基本方針を定めた。この方針に従い,さらに,43年4月,内閣総理大臣は,同じく,動燃事業団の動力炉開発業務に関する第1次基本計画を定め,42年度から45年度までの期間を対象とする高速増殖炉および新型転換炉に関する研究開発計画を各項目について具体的に指示した。
 また,とくに,基本方針においては,それぞれ,原型炉建設の具体的計画に関して,事前の研究開発の成果および海外における技術の動向等にもとづき,計画の妥当性を厳格に評価検討のうえ,これを決定することとし,研究開発を有効にすすめることを期した。44年度は,新型転換炉の評価検討を行なう時期にあたっており,このため,原子力委員会は,44年5月,新型転換炉評価検討専門部会を設置することとした。同専門部会における審議は44年5月から開始された。
 これらの基本方針および第1次基本計画に従って,動燃事業団において,前年度に引きつづき,体制の整備がすすめられるとともに,43年度から,動力炉開発に関する本格的な業務がいよいよ実施されるにいたった。すでに,高速増殖炉については,実験炉の第3次概念設計が終了し,原型炉の予備設計にも着手し,また,新型転換炉については,第2次設計にすすんでおり,これらの設計研究と併行して,関連する研究開発も着々進行し,これに必要な施設の整備が行なわれている。


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