§3 試験炉
2材料試験炉

原研の材料試験炉(JMTR)は,動力炉の国産化に資するため,原子炉材料と燃料の各種照射実験を行なうことを目的として,40年1月,内閣総理大臣から原研大洗研究所に設置することが許可された。
 建設工事は,40年8月に着手され,炉建屋は,42年2月に完成された。42年度は,燃料管理室,実験室,機械室,照射準備室,2次冷却系冷却塔とポンプ室,排気系施設,ホットラボラトリー,α-γケープの建設がつづけられ,43年3月末には,ホットラボラトリー,α-γケープを除いて殆んど完成された。
 また,各種機器の工場製作も,建設工事と平行してすすめられていたが,42年には現地据付工事が行なわれた。5月には主循環系等の据付を開始したのをはじめとして,7月には炉心部組立てが本格的になり,機械類の据付工事は42年内に殆んど終わり,また系統別の機能試験も年内に終了した。
12月に燃料要素,反射体要素の搬入が行なわれ,43年1月以降,総合試験が実施された。1月末から2月はじめにかけては,炉建屋の気密試験等施設検査が行なわれた。43年3月,燃料装荷15本で臨界に達した。
43年度は,零出力,出力上昇の試験が行なわれ,5万キロワット,100時間連続の最終試験が行なわれる予定である。
 なお,JMTRに設置される最初の照射ループとして水冷却照射ループが設けられることとなり,その設置変更が42年5月,許可された。同ループは,主として軽水炉の燃料,材料の照射実験を行なうもので,最高圧力50キログラム/平方センチメートル,最高温度320°Cであり,加圧水型,沸騰水型のいずれの冷却方式を模擬した実験も可能である。現在,同ループは,工場製作の段階で,43年8月頃から据付を開始する予定である。


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