第2章 原子炉の開発利用
§3 原子力発電所

1 日本原子力発電(株)東海発電所

 わが国最初の実用規模の原子力発電所として建設がすすめられてきた日本原子力発電(株)(原電)東海発電所(コールダーホール改良型,16.6万キロワット)は着工以来4年の歳月を経て,40年4月21日から燃料装荷が始められ,5月4日待望の臨界に達した。その後,格子定数の測定,制御棒効果の測定などを行ないながら,5月28日全燃料186.6トンの装荷を終えた。
 ひきつづき各種の試験検査,機器の調整などが行なわれた。その過程で,燃料取替機をはじめとして緊急炉停止装置,破壊燃料検出装置などの補修や手直しが続出し,当初の工程より約1カ月半遅れて11月1日最終段階の出力上昇試験が行なわれ,11月10日,最大出力1万キロワットの初発電に成功した。しかし,その後も2号タービンのラビリンスの損傷,2号タービン発電機主励磁機の焼損などがあいつぎ,12月から1月には,熱交換器の蒸気管(低圧過熱器)に蒸気洩れが発生した。蒸気洩れについては,その発生状況からみて,今後も同様の漏洩が起ることが考えられたので,原電では1月22日から原子炉を停止し,製作者である英国のゼネラル・エレクトリック社の担当技術者を呼び,蒸気洩れの原因とその対策について慎重に調査検討を行なってきた。この種の故障は,英国ブラッドウエル発電所などでも発生しているので,その経験に徴し,風洞実験を英国で行なうほか,国内においても関係会社,大学などでモデル実験,材料実験などを 行ない原因究明に努めた。
 この結果,原因の究明がすすみ,それぞれ対策が講じられつつあるので順調にいけば,7月以降営業運転を開始し得る見込みである。


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