第2章 原子炉の開発利用
§3 原子力発電所

2 日本原子力発電(株)敦賀発電所

 原電では,原子力開発利用長期画の線にそって2号炉を福井県敦賀市(敦賀半島の北端東側,敷地面積140万平方メートル)に建設することを37年11月に決定し,38年9月,発電所敷地の買収を完了した。
 原電では,電気出力25万ないし30万キロワットの軽水炉型プラントを米国ゼネラル・エレクトリック(GE)社またはウェスティングハウス(WH)社から購入することとし,40年1月,両社に見積書の提出を求めた。両社は原電の提出した見積条件および技術仕様書にもとづいて40年5月末に応札した。原電では,両社の見積について安全性,信頼性,経済性などにわたって慎重に検討した結果,実証性においていくぶんすすんでいることなどから40年9月GE社の沸騰水型炉(BWR)を購入することを決定し,翌10月,内閣総理大臣あて原子炉の設置許可申請を行なった。
 同炉の安全審査は,原子力委員会の原子炉安全専門審査会で,40年11月から5カ月に延べ50回以上の会合を重ね慎重に行なわれた。その結果,敦賀発電所の安全性に関する全施設の計画は,敷地の広さ,立地条件および安全防護施設を含めて妥当であると認められた。原子力委員会は,審査会でのこの結論を尊重するとともに,安全性以外の点も含め設置の許可の基準に適合している旨の答申を内閣総理大臣に行ない,内閣総理大臣は,41年4月原子炉の設置を許可した。
 敦賀発電所は,商業発電を目的として建設され,原子炉は熱出力97万キロワット,電気出力32.2万キロワットの沸騰水型炉(BWR)であり,長尺燃料,強制循環方式の採用,大熱出力,高燃焼度などの点で,ほぼ経済ベースにのつた実用発電炉として,米国をはじめ各国において建設されているものと同種のものである。燃料には,低濃縮二酸化ウランが使用され,装荷量は約61トンである。このうち圧力容器および電気関係部品は,国産されることになっている。
 建設工事については,41年4月に着工され,44年9月燃料装荷,44年12月竣工の予定である。発電所の総工事費は約324億円で,発電原価は,キロワット時あたり初年度3円15銭,20カ年平均2円62銭の見込みである。


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