§2 わが国の原子力開発の概況

5.研究開発施設,機構等の整備

 研究開発施設の整備わが国では,8基の研究炉が稼働しそれぞれの目的に利用されている。39年度には,さらに新しく,遮蔽実験を目的とした日本原子力研究所のJRR-4,全国の大学関係者の共同利用施設として36年から建設がすすめられていた京都大学原子炉実験所の研究炉の2基が臨界に達した。なお,日本原子力研究所のJRR-2,JRR-3が本格的運転にはいり,ラジオアイソトープの生産に新しい力が加わった。
 原子力委員会が38年8月に設置を決定した材料試験炉(JMTR)は原子力産業界5グループの能力を総合し,その特色を生かして建設する方針ですすめられ,40年3月,日本原子力研究所と5社との間に建設契約が締結された。この炉は,核燃料,原子炉材料等の開発に重要な役割を果たすもので,43年度完成の予定である。また,原子燃料公社の人形峠鉱山に一貫製練技術を総合的に検討するための試験製練所が完成し,運転にはいって。
 研究開発機構の整備38年度から懸案となっていた日本原子力研究所の体制の刷新整備については,将来のわが国の原子力開発のあり方とも密接に関係するので,原子力委員会としても重大な関心をもつところであった。日本原子力研究所は,39年6月から新理事長のもとで組織運営の改善について検討を行ない,理事会議の運営の改善,経営管理機能の強化,人事労務管理体制の強化,動力炉開発部門,サービス部門およびアイソトープ事業部門の整備などについて,40年2月,大幅な組織改正を行なって,一応新段階へ臨む体制を整えた。
 東海地区原子力施設地帯の整備茨城県東海村には,わが国の原子力センターとして多数の原子力施設が設置されているのみならず,東海村およびその周辺の市町村は産業経済的にも近年急速に伸長しているので,この地帯の計画的整備をはかり,地域としての調和的発展に資する必要が生じてきた。この意味から37年9月,原子力委員会は,原子力施設地帯整備専門部会を設置して,「東海地区原子力施設地,帯整備に関する計画のうち原子力利用に関するもの」について検討せしめた。
 同専門部会は,人口分布,都市計画等について審議を行ない,39年12月,原子力委員会に答申した。この答申は,東海地区原子力施設地帯の住民の安全の確保と福祉の増進をはかるため,一定の仮想条件にもとづく人口や各種施設の配置とその規模の適正化を期しつつ,この地帯の健全な発展をはかるとの基本的考え方のもとに,地域内の道路,公園,緑地,上下水道等につき具体的整備方針を述べ,これらが主として都市計画法にもとづく都市計画等に反映されるべきものであるとしている。


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