第3章 核燃料・材料および機器等
§1 核燃料

3.製錬

 燃料公社は東海製錬所において,硫酸浸出法によるたい積型ウラン鉱床の各種鉱石について製錬試験を行ない,エクサー法を応用し,粗製錬工程と精製錬工程を直結するいわゆる一貫製錬技術の開発に成功した。
 しかし,東海製錬所の設備は連続操業試験には不適当であるため,また,採鉱・洗鉱など一連の処理工程における技術的安定性および経済性を総合的に検討するため,人形峠鉱山に,鉱石処理量,時間当り1トンの山元試験製錬施設を39年8月までに完成の予定で,38年10月に建設に着工した。
 また,燃料公社における金属ウランの生産は,37年度にひきつづき,輸入ウラン精鉱を原料とし,東海製錬所で行なわれた。
 38年度にはウラン地金約14トンを生産し,前年度の分と合せ,国産1号炉用2次燃料として,日本原子力研究所に納入したほか,各種試験研究用に供した。この生産は長期間にわたったため,工程管理と機器の保守に特別の注意を払った結果,これまで問題の多かった精製錬工程でもほとんど支障なく順調な操業を継続することができた。
 燃料公社では,これまでに多量のウランスラグが蓄積されているので,このスラグの中のウランを回収するため設備を38年度に完成させた。
 なお,金属ウランの加工に際して発生する切削屑を再生する設備を38年度中に完成した。この設備は純度不良の塊状金属ウランも処理することができるものである。
 他方,民間企業でも,独自の技術または導入技術により,年間数十トンの規模の製錬施設をそなえており,38年度は三菱電機研究炉用,日本原子力事業臨界実験装置用などの燃料を生産した。


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