第3章 核燃料・材料および機器等
§1 核燃料

2.探鉱試験および洗鉱試験

 人形峠鉱山およびその周辺地区は探鉱の進展とあいまって鉱量も逐年増大しており,燃料公社は人形峠鉱山で従来から各種採鉱試験,37年度から中周規模洗鉱試験を行なっている。
38年度には両翼長壁式採鉱試験として,切羽運搬機にパンツアーコンベヤーおよびスクレーパーを使用して試験したが,作業能率があまり上らず,切羽の増設を行なうなどの改善策を講じ,両翼長壁式切羽によってスクレーパーの不利な点を克服して,高能率出鉱を達成する確信を得た。
 また,水力採鉱試験では含ウランれき岩層の洗れき効果に着眼し,水力による掘さくと同時に洗れきを行ない,高品位粒鉱あるいは,スライムとし坑外に搬出する水力採鉱法の技術を確立するために中間規模の水力採鉱試験設備を38年10月人形峠鉱山2号坑に完成させた。11月から2号坑内において切羽長10メートルの長壁式切羽を設け,掘さくから水力輸送まで一貫した試験を開始した。
 中間規模洗鉱試験としては,各鉱床ごとに湿式ふるい分けに関する基礎試験を実施してきた結果,非酸化帯鉱床の鉱石の品位を簡単に数倍に上げることができた。この洗鉱試験とは,原鉱石の鉱量を10分の1程度に縮減して,これ以降の処理鉱量を著しく減少させ,生産原価を低減させることを目的とするものである。37年度に中間規模の連続処理洗鉱試験設備を人形峠鉱山に設置し,38年度はこの設備を用いて非酸化帯および酸化帯鉱床について,それぞれ洗鉱試験を実施し,それぞれの鉱石の特性および実収率について良好な成果を得た。


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