第6章 放射線安全

§1 法令の整備

 すでに35年度,放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(以下,障害防止法という)が改正され,この 改正法の施行にともない,障害防止法施行令,同施行規則等の改正が行なわれた。また,核原料物質または核燃料 物質の製錬の事業に関する規則,核燃料物質の使用等に関する規則および原子炉の設置運転等に関する規則ならび にこれらの規則にもとづく告示も,同時に改正された。
 これらの改正は,1958年の国際放射線防護委員会の勧告の線にそって,従来,職業上の被曝に対する最大許容線量が,1週間につき0.3レムであったのが,最大許容集積線量として,
    D=5 (N−18)
       ただし,Dはレム単位の集積線量,Nは年令である。
の公式によって計算される線量をとることとなり,かつ,最大許容被曝線量として,3箇月間3レムを採用することとなったためであった。
 このように,1958年の国際放射線防護委員会の勧告の線にそって,放射線障害防止についての技術的基準を,斉一化するために関係法令の改正が行なわれたが,未改正のものとしては,医療法施行規則,薬局等構造設備規則,放射性医薬品製造規則,金属鉱山等保安規則,電離放射線障害防止規則,放射性物質車両運搬規則および人事院規則が残されていた。このうち放射線審議会は,37年8月厚生大臣から,同年9月通商産業大臣から,それぞれ医療法施行規則の一部改正および金属鉱山等保安規則の一部改正に関して諮問をうけ,特別部会を設置して審議した結果,前者に対しては同年9月,後者に対しては同年10月それぞれ答申を行なった。
 医療法施行規則の一部改正は同年10月に施行され,金属鉱山等保安規則の一部改正は38年6月に施行された,また,薬局等構造設備ならびに放射性医薬品製造規則および電離放射線障害防止規則については,38年3月厚生大臣および労働大臣から諮問をうけ,同審議会はそれぞれについて特別部会を設置し,審議を行なっている。
 その他の関係規則も,漸次同審議会に諮問され,38年10月までには関係法令の障害防止に関する技術的基準を斉一化する予定になっている。


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