第6章 放射線安全

§2 原子炉の設置および運転にともなう放射線安全

 現在,わが国において原子炉を設置しようとする者は,内閣総理大臣の許可を受けなければならない。この許可を するに当たって内閣総理大臣は,それが基準に適合しているかどうかについて,原子力委員会の意見をきかなけれ ばならないことになっており,原子力委員会は,原子炉安全専門審査会の審査を経て,内閣総理大臣に答申を行なう こととなっている。
 37年度末までに設置が許可されたものは,(第6-1表)に示すとおり,原子炉11基,臨界実験装置5基,合計16基である。

 さらに,原子炉設置者は,原子炉施設に関する設計および工事の方法についても認可を受けなければならない。また,施設の工事については,施設検査および性能検査を受ける必要があり,これらに合格した後でなければ,原子炉施設を使用してはならないことになっている。37年度における施設検査および性能検査の実施状況は,付録IV-4に示すとおりである。
 なお,現在運転中の原子炉施設については,毎年1回の定期検査を受けなければならないことになっており,37年度に実施したものには,原研JRR-1,近畿大学研究炉,立教大学研究炉および原研半均質臨界実験装置がある,原子炉設置者は,原子炉施設の運転の安全性を確保するために,保安規定を定めて内閣総理大臣の認可を受けるとともに,原子炉の運転に関して保安の監督を行なわせるため,資格を有する者の中から原子炉主任技術者を選任しなければならない。
 この資格をえるには,国家試験に合格するか,もしくは,科学技術庁長官の認定を受けなければならない。この試験には,筆記試験および口答試験があり,口答試験は,筆記試験に合格した者で,原子炉運転に6箇月以上従事した者,もしくは,原子力研究所の原子炉研修所の一般課程を修了した者か,これと同等以上の経験を有する者でなければ受験できない。
 37年度には,第4回口答試験および第5回筆記試験が行なわれ,それぞれ23名および35名の合格者があった。これにより,37年度末の有資格者数は,37年度中に認定された3名を含め,79名になった。

 なお,原子炉主任者の資格を有する者の所属別の内訳は,付録IV-5に示すとおりである。
 現在,東海村およびその周辺地区には,運転中の原子炉が3基と臨界実験装置が3基あり,また,近く運転に入る予定のものが4基あるので,この地域における放射線量およびその分布を調査するとともに,万一,事故が発生したときの対策を,立案するに必要な資料をえることを目的として,37年度から放射線監視車が配置された。
 この放射線監視車は,日本原子力研究所で設置している無人監視所のみでは達成できない測定上の効果をあげており,その測定結果は,月間報告書として公表されている。


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