第1章 総論

§6 国際交流と協力

 37年度には,国際的な研究協力が,主として米国との間で具体化した。
 すなわち,米国のハンフォード事業所に,プルトニウム関係技術者を長期派遣することが,38年3月に決定したのをはじめ,日米間の研究協力も,前述のとおり進展をみた。
 一方,37年12月には,日米原子力会談が日米両原子力産業会議の共催で開催され,両国の原子力委員会の代表も非公式ながら参加して,核燃料,原子炉の安全と敷地,原子力災害補償,原子炉の研究開発など相互に関心の深い問題について,意見を交換した。
 また,わが国とフランスおよび英国との間においても,日仏原子力技術会議,日英原子動力シンポジウムを契機として,具体的な技術協力の素地をつくることができた。
 一方,アジア諸国において原子力開発の分野で指導的地位にある各国代表者の参集を求め,各国が当面している行政上,技術面での共通の問題を討議し,地域的協力による解決方策を探求する機会を提供することを目的として,日本政府が主催して,38年3月,原子力平和利用推進のためのアジア・太平洋諸国会議を開催した。この会議には,アフガニスタン,オーストラリア,セイロン,中華民国,インド,インドネシア,イラン,日本,大韓民国,ニュージーランド,パキスタン,フイリッピン,タイ,ベトナムの14箇国の代表ならびに国際原子力機関はじめ多くの国際機関も参加した。討議の結果,国際原子力機関の地域事務所をアジア地域に設け,同機関のアジアにおける活動を充実すること,今後国際原子力機関の主催により,この種の会議を随時開催することに明るい見通しがえられ,アジア地域における原子力分野での国際協力のきっかけをつくることができた意義は,高く評価されている。


目次へ          第1章 第7節へ