第7章 規制と防護
§3 規制の強化

3−1 原子炉等規制法の改正

 原子力の研究開発の進展に伴い,制定当時予想された事態にも若干の変化が生じ,その規制の適正化をはかる必要から,原子炉等規制法およびその施行令の改正が行なわれ,36年9月より施行された。
 この改正によって,1)臨界実験装置に関する規制の強化 2)原子炉施設に関する定期検査の新設 3)一定量以上のプルトニウムおよび使用済燃料および 4)原子炉施設検査官制度の新設などの安全上の措置がとられることになった。
 臨界実験装置については,これまで,核燃料物質の使用についての規制措置が適用され,その許可は,原子力委員会および原子炉安全審査専門部会における安全性の審査を経て与えられていたが,今後は,その設置数の増加および規模の大型化が予想されるところから,諸外国の事例も参照して,原子炉に臨界実験装置が含まれるように原子炉の定義が改正された。
 これによって,臨界実験装置は,その新設または一部変更にかかる許可の手続はもとより,その後の検査,保安規定,主任技術者の選任等に関し,原子炉とほぼ同様の規制を受けることになった。
 原子炉施設の検査については,従来からその設置および変更時における施設検査および性能検査の規定があり,また必要な場合には,立入検査を行なうことができるが,原子炉災害の防止については,とくに万全を期するため,原子炉施設のうち,主としてその安全系を中心に年1回定期検査を行なうことになった。
 プルトニウムおよび使用済燃料については,施設および取扱いの安全を期する必要から従来の核燃料物質の使用についての規制に加えて,施設検査および保安規定の認可を受けることになった。
 また,原子炉施設等の検査は,これまで,原子炉等規制法に基づき,原子力局の担当官が実施してきたが,検査実施件数の増加と検査内容の高度化により,新たに原子力施設検査官の制度が設けられた。


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