第7章 規制と防護
§2 安全基準の検討

2−2 原子炉安全基準専門部会

 原子炉の安全基準は,原子炉の安全性の審査,すなわち原子炉設置許可一のつの基準となるもので,原子力委員会は,33年以来,原子炉安全基準専門部会を設置して,その基準の作成に審議を重ねてきた。しかしながら原子炉の安全基準の作成には,原子力開発技術が発展途上にあるため,常に研究を行ない,その進展に応じたものを採用する必要性から,かなり困難な要素が含まれている。
 36年度には4回の原子炉安全基準専門部会が開催され 1)人体の放射線防護 2)原子炉の立地基準 3)原子炉の性能検査 4)原子炉とその災害評価 5)気象条件および 6)原子炉設置許可申請書記載基準について検討を行なった。人体の放射線防護の基準に関しては,36年8月の放射線審議会からの答申「一般人の緊急被ばくに関する基本的な考え方について」の報告書をもとにして,基準線量の検討をすすめ,炉とその災害評価については,事故解析の考え方の整理がすすめられている。原子炉災害の解析の主要問題の一つである放射性雲の大気中拡散の推定方法については,英国気象庁方式の採用にあたってのパラメーターの検討がすすめられている。原子炉設置許可申請書等記載基準については,その統一的要綱の検討が行なわれた。また,このほかに,運輸省との合同審議により原子力船の安全基準を作成するための審議が開始される予定である。


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