第4章 国際協力

§3 情報および科学技術者の交流

 原子力平和利用開発は,あらゆる分野の科学技術の総合の上に立って行なわれるので,国内のみならず諸外国を通じての非常に広範な科学技術者の協力が必要である.米国,英国,フランス等先進諸国では,早くから,国内の関係科学技術資料の集積とその利用を目的とした情報の一元化をはかり,各方面の研究の成果を整理統合して,利用者の便に供するとともに,各国との情報交換の形で外国にも配布している。
 国際連合が国際的な情報交換を積極的に推進する目的で開催する原子力平和利用会議は,現在まですでに2回行なわれたが,最近は専門別の国際会議も多く開かれるようになった.(第4-2表)および(第4-3表)は昭和35年度に国際原子力機関の主催で開催された専門別の会議の一覧表である。

 わが国ではまだ国内の研究結果を組織的に統合して国の内外へ流通させるような体制はできていないが,昭和36年2月15日から4日間開催された27学会協会共催の原子力総合発表会では,316編にのぼる研究論文が発表された。
 また,効率のよい開発を進めるために,科学技術者の交流を行なうことは世界的にまだ少ない施設や資材や人材をより有効に利用し,広く海外における開発研究の実態を知ることにより,直接的な効果を期待できるので,重要なことと考えられる.このため,35年度に先進諸国へ派遣された原子力関係留学生は約80名で,その派遣先は米国,英国,フランス,ドイツ,カナダ,ベルギーおよびスェーデンの7ヵ国にわたっている。
 またこの間,わが国においても国際原子力機関を通じて13名の外国人研修生の受入を行なった。
 このほか原子力委員会の招へいによる米国アルゴンヌ研究所長ヒルベリー博士の来日,国際原子力機関から保障部長のスミス氏の日本への派遣等,外国の科学技術者約2人が来日した。


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