昭和３５年版
原 子 力 白 書 昭和３６年７月
原子力委員会
まえがき 世界各国の国民経済の発展において科学技術が果す役割は近年ますます増大している。とくにわが国は資源に恵まれず,また今後貿易の自由化により国際競争が激化することが予想されるので,これに対処して先進諸国に伍してゆくためには,原子力をはじめとする科学技術の振興がとくに重要である。
このような意味において,原子力の研究開発は民間にのみ期待するだけでなく,政府みずからもこれを強力に推進すべきであると考えられ,原子力委員会としても昭和31年初頭に設置されて以来,その開発利用の推進には鋭意努力を重ねている。
昭和35年度においては,原子力委員会は関係官庁,学界,産業界がそれぞれ作成した長期計画を総合的にまとめて原子力開発利用長期計画を決定した。今後はこの計画を単に作文に終らせないように計画に盛られた内容を実施していかなければならないが,そのためにも世界の大勢に照らしつつ,わが国における開発の跡を顧みて,今後の誤りなき方針を策定していくことは十分に意義のあることであろう。この趣旨において昭和35年度を中心とした第5回の原子力年報を公刊する次第である。
昭和36年7月
国 務 大 臣 原子力委員会委員長 三木 武夫
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