第7章 原子力関連機器

§4 化学処理関連機器

 化学処理関連機器とは,原子炉の運転にともなって生ずる廃棄物を化学処理する場合に必要な機器で,放射性気体,液体および固体の廃棄物処理のための機器,抽出機器等がこれに属する。本機器はまだ原子炉の運転実績の少ないわが国の現状ではその研究開発も遅れているが,すでに研究開発に着手されているものとしては,放射性気体処理機器,放射性液体処理機器等が挙げられる。
 これ等機器に関する基礎研究は,昭和29年度から31年度にわたり国立試験研究機関ならびに原子力平和利用研究補助金により学術振興会を通じ,国立大学等において行なわれ,この間政府は約1,000万円の研究補助金を支出して研究開発を助成したが,32年度以降は主として日本原子力研究所に引継がれて研究が行なわれている。 ((第7-3表参照))

 (1) 放射性気体処理機器
 廃棄物中に含まれていて最も除去し難く,かつ放出すれば危険を伴なう放射性微粒子(径0.1〜1μ)の捕集,除去を目的としたスチームエジエクター方式の機械的集塵装置および電気的集塵装置等の基礎研究ならびに実用化研究がすすめられている。

 (2) 放射性液体処理機器
 蒸発濃縮法による廃液処理を目的として小型蒸発装置を試作し,除染係数が107〜108にまで到達することができた。
 さらに廃液中の溶解固形物の量が多いときは,このような廃液をすべて蒸発濃縮法で処理することは,処理費用の面から不得策であるため,イオン交換膜による廃液処理方法が研究開発され,樹脂と膜とを併用した小型実験装置を試作して研究がすすめられている。


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