第6章 核融合
§1現状

 核融合は第2回ジュネーブ会議においても重大な議題の一つとして取り上げられたが,世界の核融合反応の研究は次のような段階にあるといえよう。
(1)従来の直線放電方式あるいは環状放電方式とかなり異なった着想で米ソとも多種多様な実験装置(ステラレーター,D・C・X・, パイロトロン,ホモポーラー,オグラ等)の開発に力を注いでいる。
(2)このような多彩な実験装置の登場にかかわらず熱核反応を確認したところはなく,どの型が将来性があるか模索している段階である。
(3)反応の持続に必要な摂氏5億度という超高温を得,さらにプラズマを数秒間安定させるには,広範囲な基礎的研究が重ねられねばならない。
(4)研究的に核融合反応を制御するのに少なくとも10年,経済的にエネルギーを発生させるにはさらに20年以上を必要とする。
(5)わが国は各国が公開したような装置を建設するまでは至っていないが,理論的には先進諸国のそれとかけはなれたものではない。


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