第3章 核燃料
§4 原子燃料公社の製錬業務

32年度,茨城県東海村で着工された東海製錬所は,33年末に精製還元中間試験工場を,また原子燃料試験所も応用試 験室の建屋を完成し製錬などに関する基礎的および工業的試験研究を進めている。

1.原子燃料試験所

 原子燃料試験所は基礎試験室および応用試験室からなっている。基礎試験室は33年2月に開所され,探鉱,製錬の事業の進展に伴い多くの分析や鉱物検定にあたる一方,選鉱,製錬の各種基礎試験を行なっている。
 応用試験室は粗製錬に関する工業化試験を行なう目的をもって建設されたもので,34年6月に鉱石1日処理量3tonの選鉱および溶媒抽出法による粗製錬施設の建設を完成し,試験を開始した。これと並行してイオン交換法による製錬試験を行なうため,米国から技術導入が行われ,ヒギンス法イオン交換装置を整備中である。

2.精製還元中間試験工場

 この試験工場は日産30kgの金属ウランを製造する規模のもので,本格的な生産設備の設計資料を得るとともに,JRR-3(国産第1号炉)の燃料の一部を供給することになっている。
 この建設のために,32年米国のWeinrich Associates ChemicaI En-gineers社から技術導入が行なわれた。33年7月,同社技術指導のもとに最終設計を終って着工され,年末には建屋,設備ともに完成し,種々試験調整の後,34年3月,わが国で初めてのウランインゴット約80kgの生産に成功して以来同年9月末までに約400kgのウランインゴットを生産した。


目次へ          第3章 第5節へ