第2章 原子力開発態勢の整備
§4 原子力開発関係法規の制定

 原子力基本法に明記された組織に従つて,原子力委員会設置法,総理府設置法の一部を改正する法律,日本原子力研究所法,原子燃料公社法が制定されて,原子力の開発機構が確立された。基本法には開発機構のほかに,原子力の平和利用を推進するにあたつて政府が規制すべき分野がかかげられており,それぞれの分野において管理を実施する法制を設ける必要があつた。31年度において最初にとりあげられたのは,核原料物質に関するもので,鉱業法の改正と核原料物質開発促進臨時措置法がこれである。これはウラン,トリウムの資源の探査採掘を促進しようとするものであつた。
 一方「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律案」および「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律案」の準備がすすめられていたが,第26国会に提出され,32年5月に国会を通過した。前者は核原料物質および核燃料物質の有効な利用をはかり,原子炉等の使用による災害を防止し,さらに,これらが平和の目的にのみ使用されることをその目的としている。後者はアイソトープの利用の急激な増加にかんがみ,上記以外の放射性同位元素について,その使用から生ずる放射線障害を防止しようとするものである。これらの法律によつて,今後増大する核原料物質,核燃料物質,原子炉,アイソトープの使用に関して,広汎な規制を行う体制がととのえられることになつた。


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