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@mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
2009年11月27日号
☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 田中委員長代理からひとこと 農耕科学のすすめ:
┃ ニュートリノと地球温暖化
┣ 定例会議情報 原子力政策大綱に示している原子力研究開発に関する取組
┃ の基本的考え方の評価について
┃ 放射性廃棄物処分広報強化月間の取組結果について
┃ 原子力政策大綱の政策評価「放射線利用」に係る関係機関
┃ ヒアリング(文部科学省・農林水産省) 等
┣ 部会情報等 国際専門部会(第4回)について
┣ 事務局だより 立地新設
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●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.htmlまで、ぜひお寄せくだ
さい。
━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
農耕科学のすすめ:ニュートリノと地球温暖化 田中俊一
高エネルギー加速器研究機構(KEK)の前機構長であった戸塚先生が、病との闘
いの中で書き残された「科学入門E=mc2は美しい」をご存知の方もいるかも知れ
ない。戸塚先生は、ニュートリノ研究の第一人者でノーベル物理学賞の最有力候
補と云われていたが、昨年7月に逝去された。個人的には、KEKと日本原子力研究
所(当時)が共同でつくりあげたJ-PARCの建設時に、KEK機構長というより、一人
の科学者としての思いを折々話されていたことが強く印象に残っている。
戸塚先生の科学入門に太陽ニュートリノについて次のようなことが書かれてい
る。「我々が見ている太陽の光は、太陽の中心部で起こった核融合反応による熱
が数十万年経って表面に拡散してきた熱(光)をみている。一方、太陽のエネル
ギー発生時に作られたニュートリノは8分で地球に到達する。確からしい理論を
使って計算すると、スーパーカミオカンデが観測すべき量は一日当たり30個とな
るが、実際の観測量は15個と半分である。理論計算は太陽が放出しているエネル
ギーから計算したもの、つまり数十万年前に太陽で作られたエネルギーを基にし
ており、8分前の核反応で放出されたニュートリノの観測量からは、「今現在」
太陽で作られているエネルギーは数十万年前の半分であるという結論になる。数
十万年単位でみると、太陽から地球に降り注ぐエネルギーは半減していることに
なれば、地球温暖化どころではないということになるが、この推論には幾つか確
かめなければならないことがある。一つは、太陽ニュートリノ(ν(e))が、
スーパーカミオカンデに到達するまでに別のニュートリノであるν(μ)あるいは
ν(τ)に変わり、観測確率が小さくなることである。」
J-PARCでは、加速器ニュートリノ(ν(μ))を作り、約300km離れたスーパー
カミオカンデで測定することにより、ν(μ)→ν(τ)、ν(μ)→ν(τ)→ν(e)
への変化(ニュートリノ振動)を世界に先駆けて精密に想定する実験がはじまり
つつある。この実験は素粒子物理にとって極めて重要な成果をもたらすとされて
いるが、同時に、ニュートリノ振動の物理が精密に理解されることになれば、先
に述べた太陽活動の時々刻々の変化も測定できるようになるかも知れない。地球
の最大の熱源である太陽内部での熱核融合反応の変化の実態を知ることは、地球
温暖化に関する理解を深めることにつながるはずである。地球温暖化の原因とし
て幾つかの異論もあるが、ともかく、地球の圧倒的熱源である太陽の活動を測定
することが大事であるというのが戸塚先生の示唆である。
このところ、研究に対する成果の要求が短兵急になり、費用対効果という得体
の知れない魔物と戦う術を本質的にもたない基礎研究の居心地が極めて悪い状況
にある。太陽活動の時間変化と地球環境の関係が容易に解き明かされるとは思え
ないが、地道な観測の積み重ねがひょっとしたら地球温暖化対策に決定的な知見
を与えてくれるかも知れない。ニュートリノは役に立たないと述べた小柴先生の
逆説は、基礎科学はいつ、どんな役に立つか予見できないということであろう。
畑をこつこつと耕し、作物を生み出すような農耕に似た基礎研究は、狩猟のよ
うに大きな獲物を狙うプロジェクト研究と比べると地味であり、なかなか世間受
けはしない。しかし、基礎研究と基礎研究者を大切にすることが、新たな知見を
生み出し、新たな科学技術を再生産する確かな方法であり、科学技術立国への確
かな道であることを、戸塚先生は云いたかったのではなかろうか。
●次号は松田委員からのひとことの予定です!
━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●11月17日(火)第42回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・原子力政策大綱に示している原子力研究開発に関する取組の基本的考え方の評
価について
<主なやりとり等>
原子力委員会 研究開発専門部会の大橋部会長より、原子力政策大綱の研究開
発分野の政策評価を取りまとめた報告書の概要について説明がありました。報告
書では、原子力研究開発のあり方について、現状認識や役割、課題を示したうえ
で、提言を取りまとめています。(報告書の概要はこちらをご覧ください:
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2009/siryo42/siryo1-2.pdf )
委員より、人材流動の課題についてなどのコメントがありました。
報告を受け、原子力委員会は、同報告書の内容を尊重すべきである旨を決定し
ました。
・「埋設処分業務の実施に関する計画」について(日本原子力研究開発機構)
<主なやりとり等>
文部科学省より、日本原子力研究開発機構(JAEA)が「埋設処分業務の実施に
関する計画」を取りまとめた経緯の説明があった後、JAEAより、同計画の内容に
ついて説明がありました。同計画は、事業実施の基本的考え方や対象とする放射
性廃棄物の種類や量の見込み等を述べたうえで、当面実施する事項として概念設
計の実施や立地基準及び立地手順の策定等を示しています。
委員より、当面必要となる予算や、当面の最大の課題等について質問がありま
した。また、商業用原子力発電所から発生する放射性廃棄物処理の例を参考にす
るなどして、速やかに処分事業を開始できるように努めて欲しいとのコメントが
ありました。
※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2009/siryo42/tei-si42.htm
●11月24日(火)第43回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・放射性廃棄物処分広報強化月間の取組結果について
①シンポジウム「地域と共に歩む、地層処分事業~スウェーデンの取組から学
ぶ~」について(資源エネルギー庁)
②「電気の廃棄物」問題を考えるキャンペーン実施結果について(原子力発電
環境整備機構)
<主なやりとり等>
資源エネルギー庁より、10月27日にスウェーデンエストハンマル市長他を招い
て行われたシンポジウムの実施結果について説明がありました。続いて、原子力
発電環境整備機構より、10月中旬から11月中旬に行われたキャンペーン実施結果
について説明がありました。委員より、スウェーデンでの立地活動に国会議員の
果たした具体的役割についての質問や、国民目線に立って評価することが大切で
ある、処分事業者である原子力発電環境整備機構自体の信頼を得るための取組み
が必要などのコメントがありました。
・原子力政策大綱の政策評価「放射線利用」に係る関係機関ヒアリング(文部科
学省・農林水産省)
<主なやりとり等>
第39回定例会議(10月20日開催)において決定した、原子力政策大綱に示され
る「放射線利用」に関する政策の評価の一環として、文部科学省及び農林水産省
等から放射線利用に係る取組の現状と課題についてヒアリングを実施しました。
委員より、大規模施設の整備のあり方や、放射線が多くの一般の人々の生活に
深く根付いていることをアピールすることの必要性、放射線利用を進めるに当た
っての官民の役割分担のあり方などについてのコメントがありました。
※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2009/siryo43/tei-si43.htm
●次回は12月1日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
・東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3
号、4号、5号、6号及び7号原子炉施設の変更)について(諮問)(原子力安
全・保安院)
・関西電力高浜発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施
設の変更)について(諮問)(原子力安全・保安院)
・ITER理事会の結果報告について(文部科学省)
・産総研における原子力研究について(産業技術総合研究所)
・原子力政策大綱の政策評価「放射線利用」に係る関係機関ヒアリング(放射線
医学総合研究所)
・平成22年度原子力関係経費の見積もりについて
・原子力に関する世論調査について
・近藤原子力委員会委員長の海外出張報告について
●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞ヶ
関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布
資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。
━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━
●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されています。
これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴できます。
開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。
●11月20日(金)の国際専門部会(第4回)の概要は以下のとおりでした。
<議題>
・技術開発の状況等について
・論点整理について
<主なやりとり等>
事務局より、国内外の原子力技術開発の状況について報告するとともに、本部
会の中間取りまとめに向けた論点を整理しました。
中間取りまとめの論点として、核不拡散体制への貢献、平和利用担保のモデル
・規範、燃料サイクルの多国間管理、地球温暖化対策への原子力の位置づけ、原
子力産業・事業の国際展開、国際的な技術優位性の確保の6点を挙げ、それぞれ
について議論を行いました。委員からは、G8やG20を活用して核軍縮を進めるとと
もに平和利用の規範国として国際的な信頼を得ていくことや、温暖化対策として、
原子力のCDM採用を積極的に支援していくことが重要であるなどの意見がありまし
た。今回の論点をもとに中間取りまとめを作成し、次回の会合で議論することを
予定しています。
※資料等は以下のページでご覧いただけます。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/kokusaisenmon/siryo/4/index.htm
+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
立地新設
今年の7月から事務局でお世話になっています。花の都の東京勤務は12年ぶ
りで、家族を茨城県東海村に残しての単身赴任者です。
JCO事故から今年で10年ですが、我が家を立地してから来年4月で10周
年になります。立地点の選定から、メーカー選定、設計図書の承認、施行状況の
確認から検査立会いまで発注者として人並み以上に汗をかいたと自負しています。
その工事監督や大工に煙たがられながらも現場に足を運んだこともあって(差し
入れは欠かさないようにしましたけど)、この10年メーカーにクレームをつけ
る事もなく、快適に我が家を使用しています。
大学を出て、原子力発電所で働き始めた時に、上司から言われた言葉が「マイ
プラント意識」です。設備を自分の持ち物だと思って接しなさい、設備を更新す
るときは自分の車を買う積もりになって考えなさい、と言うことです。今、温暖
化対策としての原子力発電が期待されています。また、9基以上の新増設の計画
が公表されています。現場の技術者の皆さんも「マイプラント意識」強く持って
作って貰えれば、トラブルも減るでしょうし、それによって原子力への信頼もき
っと向上すると思う次第です。(山口)
●次号配信は、平成21年12月11日(金)午後の予定です。
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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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