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第4号 原子力委員会メールマガジン 2008年4月4日号

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
                         2008年4月4日号
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2008.4.4━━

┣ トピックス   広瀬委員のカザフスタン訪問記
┣ 定例会議情報  「放射線利用の経済規模について」調査報告 など
┣ 部会情報    政策評価部会 ご意見を聴く会を開催しました など
┣ 読者コーナー  メールマガジン愛称「@mieru(あっとみえる)」
┣ 事務局だより
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━・・・━━ トピックス 広瀬委員のカザフスタン訪問記 ━━・・・━━

カザフスタンという国は日本ではあまり知られていませんが、実は電気を利用
する日本国民にとってカザフスタンは大変重要な国なのです。ウラン資源が豊
富なことが主な原因ですが、原子力分野での共同研究も活発に行われています
。私は3月にこの国を訪れました。

中央アジアに位置するカザフスタンは、日本の7倍の国土を有しながら、人口
は1500万で、しかも石油、天然ガス、ウランなどの天然資源に恵まれた大変豊
かな国です。旧ソ連の一部を構成していましたが、ソ連邦の解体に伴って1991
年12月に独立しました。

カザフスタンの延々と広がるステップ地帯では、その昔は遊牧民が生活してい
ました。定住型の農耕民族を基礎とする日本の社会とは大きく異なります。た
とえば、遊牧民は広大な土地を移動しますから、土地の所有、境界線、国境な
どという「こせこせとしたもの」にはこだわりません。またカザフ語には方言
がないと言われますが、これも遊牧生活で人々が移動することが大きな原因と
考えられます。こうした歴史的な背景に豊富な資源から来る豊かさが加わった
ために、カザフ人は極めておおらかです。

カザフスタンは旧ソ連時代は核実験場になっていました。人口が疎らで広大な
ステップ地帯は核実験を行うには格好の土地だったのです。今回我々が訪れた
クルチャトフという町には、核兵器や宇宙ロケットなどの開発を行う研究施設
がありました。約1万人が住んでいたということですが、にもかかわらず、こ
の秘密都市は名前も与えられず、「モスクワ66」とか、列車の終点になってい
たので「終着駅」といった名前で呼ばれていたそうです。現在では約半分のア
パートが空き家で、窓ガラスが割れて、荒れ果ててしまいました。

このクルチャトフを北東のはずれとした18,500k㎡の地帯(日本の四国に匹敵
)が核実験の舞台となったところです。実験場は1947年から建設され、1949年
に最初の核実験(22キロトン)が行われました。1955年には水爆実験(1,600
キロトン)も行われました。核実験は計456回、そのうち116回(1949年~1962
年)は大気圏内で、残りの340回(1961年~1989年)は地下で行われました。

初期の大気中核実験の際は、鉄塔(タワー)の頂上に爆弾をおき、そこを中心
として放射状に兵器や建造物、動物等を配置し、爆発によってどのような影響
を受けるか調べたといいます。地下には、地下鉄の駅や電車まで設置して実験
を行いました。なお、タワーは爆発の際に蒸発してしまったそうです。

原爆によるダム建設の実験も行われ、その際にできた湖は、「アトミック・レ
イク」と呼ばれます。現在でもトリチウム汚染(基準濃度の4,000倍)が顕著
ですが、実験後に魚が持ち込まれ、地元の人はよく釣りをして食べていると話
していました!「それでも、まだ生きているよ」というのです!!

カザフスタンは独立後に核兵器を放棄しました。そして、元々は軍事目的の研
究開発に使っていた施設を、今度は平和目的に使用することになり、日本との
共同研究が始まったのです。独立から2年もたたない1993年に藤家教授(前原
子力委員会委員長)がカザフスタンを訪れ、ここの実験施設に目をつけ、カザ
フスタンとの共同研究を提案しました。以来、今日にいたるまで、ここの実験
炉は日本・カザフの共同研究に場を提供しています。

原爆製造から原子力の平和利用へ。この転換に日本が一役買ったことを、非常
に嬉しく、また誇らしく思いました。

 広瀬崇子 


●次号は伊藤委員からひとことの予定です!


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━

●3月25日(火)第17回定例会議の概要は以下のとおりでした。
 ・電源開発株式会社大間原子力発電所の原子炉の設置について(一部補正)

 ・独立行政法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に関する目標
 (中期目標)の変更について
  <主なやりとり>昨年10月のITER協定の発効に伴い、日本原子力研
   究 開発機構の中期目標が変更された旨、文部科学省から説明があり、
   変更の内容は妥当であるという原子力委員会の見解をまとめました。
  <ことばの解説>ITERとは、「国際熱核融合実験炉」のことです。日
   本、EU、ロシア、米国、中国、韓国、インドが参加するITER計画
   では、国際協力の下、実験炉の建設・運転を通じて、将来のエネルギー
   源の一つの有望な選択肢である核融合エネルギーの実証を行なうことに
   しています。

 ・電気事業者等により公表されたプルトニウム利用計画における利用目的の
 妥当性について
  <主なやりとり>3月11日に電気事業者等から報告があったプルトニウ
   ム利用計画に対する、原子力委員会の見解をまとめました。地球温暖化
   等の対策として原子力の活用が注目されている今、原子力の平和利用を
   担保するためのこのような取組は重要度を増しており、海外に対しても
   一層積極的にPRすべきなどのコメントがありました。

 ・アジア原子力協力フォーラム(FNCA)第9回コーディネーター会合開
 催結果について
  <主なやりとり>会合の結果について事務局から報告があり、委員からは
   、原子力のエネルギー利用のみならず、放射線利用に関しても国際協力
   が進んでいることは意義があるなどのコメントがありました。
  <ことばの解説>FNCA(アジア原子力協力フォーラム)とは、日本が
   中心となって1999年に立ち上げたアジア地域での原子力平和利用協
   力のための枠組みです。3月中旬に、東京に10カ国のコーディネータ
   ーが集まり、各国が協力して実施している研究プロジェクトの活動報告
   などを行いました。


●4月1日(火)第18回定例会議の概要は以下のとおりでした。
 ・平成19年度委託調査「放射線利用の経済規模について」報告
  <主なやりとり>平成9年度以来の本格的な調査の結果が報告されました
   。委員からは、放射線利用がいかに国民生活に密着し、医療・工業・農
   業など幅広い分野で役立っているかを客観的に知ることができる良いデ
   ータであるので、報告内容を積極的に活用するべきであるといったコメ
   ントがありました。

 ・平成20年度原子力研究、開発及び利用に関する計画
  <主なやりとり>3月28日に国の予算が成立したのを受けて、原子力の
   研究、開発及び利用に関する計画を原子力委員会決定しました。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2008/siryo18/siryo2.pdf

 ・広瀬委員の海外出張報告
  <主なやりとり>冒頭のトピックスにもあるとおり、広瀬委員がロシア連
   邦及びカザフスタン共和国を訪問した結果について説明がありました。


●次回は4月8日(火)に開催します。議題は以下の予定です。
 ・IRRS(総合的規制評価サービス)報告書について
 ・「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」等の改訂に伴う耐震安全
 性評価に関する原子力事業者等からの報告等について


<お知らせ>
●3月18日の定例会で了承された「原子力の革新的技術開発ロードマップ中
間取りまとめ」の確定版が、4月2日(水)に公表されました。内容は原子力
委員会のホームページからご覧いただけます。
    http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/kettei/kettei.htm

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。
 定例会議は毎週火曜午前、霞ヶ関の合同庁舎4号館で開催しています。
 どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料はすべてホームページでご覧
 いただけます。


━・・・━━ 部会情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━

●原子力委員会には、下部組織として部会や懇談会等が設けてあり、これらの
会合でも調査審議を行っています。これらの部会や懇談会等は原則として公開
 しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料はすべてホームペ
 ージでご覧いただけます。

●3月31日(月)に宮城県で開催した「原子力委員会政策評価部会 ご意見
を聴く会」(テーマ 放射性廃棄物の処理・処分に係る施策の評価について)
 の概要は以下のとおりでした。・開催趣旨説明
 ・第1部:御意見発表者との意見交換等
 ・第2部:会場に参加された方々から御意見を頂く
 <担当より>ご来場の皆様方からも、放射性廃棄物に関するリスクコミュニ
 ケーションの重要性や制度整備に関する率直な疑問など、積極的にご発言を
 頂きましたので、頂いたご意見をとりまとめて、今後の部会での議論につな
 げていきたいと思います。なお、議事録は後日全文公開する予定です。特に
 年度末のお忙しい時期にご来場いただいた皆様に感謝致します。


━・・・━━ 読者コーナー ━━・・・━━・・・━━・・・━

●メールマガジンの愛称「@mieru(あっとみえる)」に決定!!

本メールマガジンの愛称募集にご応募をいただき、本当にありがとうございま
した。原子力(nuclear や atomic)とメールマガジン(magazine や mail)
を組み合わせた新しい単語のアイデアや、原子力委員会(Atomic Energy Comm
ission)から文字を拾い出すアイデアなどをお寄せ頂きました。また、「たく
さんの人たちが読んでくれること、そして、原子力の正しい理解と未来への希
望を持って欲しい」「原子力委員会がもっと分かりやすく見えて欲しい」など
の思いもお寄せ頂き、本当にうれしく感じました。いただいたご意見を合わせ
まして、原子力(atomic energy)とメールアドレスに用いられるアットマー
クとを掛け合わせて『@m』、それに、原子力委員会や原子力の動きをわかり
やすく、『mieru』ようにお伝えしたい、『「み」なさまの「エ」ネルギ
ーにつなげ「る」』という思いも込めて、『@mieru(あっとみえる)』
という愛称に決定したいと思います。頂戴したアイデアや思いがきちんと反映
できていますでしょうか? 今後とも末永いご愛読のほど、どうぞよろしくお
願いいたします!


●皆さまからのお便りをお待ちしています!
 このメールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
 ぜひお寄せください。なお、お寄せいただいたご意見・ご感想などは、個人
 情報を除きこのメールマガジンに掲載させていただくことがあります。また
 質問につきましては、そのすべてには回答できない場合がありますので、ご
 了承をお願いいたします。


+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

「人材育成」の難しさ

皆様、こんにちは。事務局の鈴木です。季節は春、入学・就職のシーズンです
。こちらの職場でも、新社会人を迎えたり、人事異動があったりと、顔ぶれが
大きく変わる時期です。

さて、その人事異動ですが、国の職員の場合、概ね2~3年の周期で行われま
す。異動先は現在の職務と全く関係のない部署になることも多く、このことが
、「国では、特定の分野に精通した人材が育たない」という批判にも繋がって
います。

では、ずっと同じ分野の職務を続ければよいのでしょうか。個人的には、これ
も違うと思います。似たようなことをずっと続けると、物事をある一面からし
かとらえられなくなる可能性もあるからです。国の場合、それぞれ異なる考え
方を持つ、1億2千万人以上の国民のことを考えて政策を立案し、遂行するた
め、できる限り多くの見方を身につけることが肝要だと考えています。

この一見矛盾した状況を補うために、異動してきた人がその分野の知識を早急
に身につけるための「人材育成」が大切になります。「人材育成」はそれ以外
にも、新社会人が基本的なマナーを覚えるもの、自分の持つその分野の知識を
より高めるものなど、多岐にわたっています。原子力でも、ここ数年、この「
人材育成」が大きな課題となっており、国でも様々なメニューを実施していま
す。ただ、人材を育てるために、共通して一番大切なのは「学ぼうとする意欲
」ではないでしょうか。これがなければ、どんなによいことを、どんなに上手
に教えても、全く吸収されないでしょうし、逆にこれがあれば、どんなことか
らでも何かを得ることができるはずです。

とは言え、まわりの人にこの意欲を持ってもらうこと、そして何より、自分が
この意欲を常に持ち続けることが、実は一番難しいです。私も、まずは「学ぼ
うとする意欲」を常に高く保つための、自分への「人材育成」から始めようと
思います。


●次号配信は4月18日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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